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月島倉庫・北川真理子社長「世の中の方に『倉庫会社』を知っていただくための発信をしていく」

財界オンライン / 2023年2月10日 15時0分

北川真理子・月島倉庫社長

表に見えている景色と実態とが違う

 我々が属する物流業界は、昔から景気がいい悪いにかかわらず、「安定的低空飛行」が続いてきました。コロナ禍でECの活況が言われており、確かにその通りなのですが、我々物流業界には大きな変化はなく、配送事業者の方々がご苦労をされている状態です。

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 圏央道沿いなどを中心に物流施設の新設が相次いでいますが、開発しているのはデベロッパーさんやファンドさんが中心で、物流業界の企業ではないことは象徴的です。ですから業界内にいると、表に見えている景色と実態とは違うことを実感します。

 当社は1946年(昭和21年)に私の祖父が創業し、何もないところからスタートして今日まで続いている企業ですから、他社と違うことをやろうという風土があります。

 業界全体で人手不足は大きな課題です。どうしても「3K」の仕事だと思われがちですが、ここで手をこまねいていては若い人達が業界に来てくれなくなるという危機感があります。

 もう一つ、世の中には物流倉庫のニーズがあるにもかかわらず、我々がそれを取り込めていないという問題意識がありました。

 その理由は我々業界が「広坪数・長期」の仕事を求めているのに対し、世の中の多くの方が「少坪数・短期」の倉庫利用を求めているというミスマッチがあったからです。


「情報フルオープン」の情報発信サイト

 当社ではこれまで営業担当者が人海戦術でマッチングに取り組んでいましたが限界がありました。そこで試行的に自社で短期・小口の商品を組成したところ、偶然のいい出会いがあって借りていただけました。

 この「偶然のいい出会い」を仕組み化したのが、22年12月にプレオープンした倉庫情報発信サイト「ぴたり庫」です。

 このサイトは「情報フルオープン」をコンセプトにしています。利用者が倉庫の料金やサービスにアクセスしやすくなると同時に、倉庫会社にとっては自社の特徴を発信できる場ともなっているのです。

 世の中では多くの方が「倉庫会社って何をしているんだろう?」、「場所を貸して、賃料を得ているだけではないか?」と思っておられると思います。

 実は、利用者から荷物や在庫をお預かりして、その在庫管理をし、発送などの際には仕分けや検品、梱包をするといった形で、様々な細かい仕事を手掛けているのが倉庫会社です。

 こうしたことは知られていないというよりは、これまで倉庫業界が発信していなかったことに問題があったと考えています。今回の「ぴたり庫」は多くの方に倉庫会社について知っていただく機会にもなればという思いがあります。

 また、「ぴたり庫」では、需要の強い「少坪数・短期」はもちろんのこと、「広坪数・長期」など、多様なニーズに対応しています。さらには「仲介サイト」ではなく「広告メディア」とすることで、利用者と倉庫会社を直接交渉でつなぐことを目的としています。

 直接つながっていくことで、倉庫会社が利用者の潜在的ニーズを掘り起こすこともあるでしょうし、利用者は当初想定していなかった倉庫の使い方を発見することもあるでしょう。

 掲載する倉庫会社にとっては、最小限の経営資源で営業活動を行うことができるようになります。私達にとって、同業他社とのつながりは大変大事なものです。そうした皆様と仕事を融通し合うだけでなく、マーケットを広げるために連携をしていきたいと思っています。

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