【人生の転機】Repro・平田祐介代表取締役「2度の起業の失敗」

平田祐介・Repro代表取締役

私の転機は2度の起業の失敗です。私はReproを立ち上げる前に2社、ECの会社を起業しましたが、いずれもうまくいきませんでした。

　2社目の事業を終えた後には、すでに結婚をし、子供も1人いる状態で借金を抱えてしまいました。

　起業前はコンサルティング会社に勤めていましたが、起業失敗当時は、サラリーマン時の給与の10分の1にまで落ち込んでおり、「もう一度サラリーマンに戻らなければならないのかな……」とも思いました。

　ただ、私は17歳、高校2年生の時に「事業家」になろうと心に決めていました。自分で決めた人生の目標を失う怖さと、もう一度挑戦して人生がどん底に落ち込む怖さを天秤にかけた時に、人生の目標を失う怖さの方が勝ったのです。

　また、この時には自分の「市場価値」を知ることもできました。起業に失敗しているのにもかかわらず、転職のお誘いをいただく際にはコンサルティング会社在籍時以上の年収が提示されたのです。起業と、その失敗を経験している自分を「ユニークな存在だ」と認識していただけたのは、新鮮な驚きでした。

　そうして、再度起業に挑戦することを決めたのですが、そのきっかけとなったのが、2社目の会社のサイト改善に活用していた、ユーザーのサイト上での行動を分析するツールです。スウェーデンの企業が開発したものでしたが、このツールが私の「命の恩人」となりました。

　この経験で「自分も誰かの恩人になれるような、世のため、人のためになるようなサービスをやってみたい」と強く思ったのです。振り返れば、過去2度の起業時にはない志でした。

　そうして2014年にReproを設立し、現在はマーケティングの自動化など「カスタマーエンゲージメントプラットフォーム」である「Repro」を展開しています。現在、世界66カ国、7300以上の導入実績があります。

　これまで日本になかった市場を切り開いてきたという自負がありますが、22年10月にはウェブサイト全体の表示速度を高速化するサイトスピード改善ツール「Repro Booster」の提供を開始しました。

　ウェブサイトの表示速度改善は、来訪者の顧客体験に大きな影響を与えますが、この改善ツールは確認できている限りでは世界にもなかったものです。この特許取得済みの独自技術で、日本のみならず世界での展開を視野に入れています。

　我々は「世界で最も価値のあるマーケティングソリューションを実現する」をビジョンに掲げています。後に続く若者達が「未来の志を創る」ことができる存在でありたいと思います。