日本経済団体連合会・十倉雅和会長「構造的な賃上げを含む、『分厚い中間層』の形成を!」
財界オンライン / 2023年2月17日 7時0分
経営者に使命感と覚悟が問われる年に─。
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振り返れば、十倉雅和氏が経団連会長に就任した2021年6月は、奇しくも新型コロナウイルスが蔓延した時期。十倉氏は就任時、副会長を始めとした経団連の関係者に「科学的、論理的、客観的な思考方法で臨もう」と訴えていた。
そのうち「科学的」な見地から、コロナワクチンの早期普及に向けて動いた。新たな創薬技術である「メッセンジャーRNA」でつくられたワクチンの「加速度的普及」に向け、当時の菅義偉首相と連携して取り組んだ。
さらに「地球温暖化問題」にも力を注いだ。グリーントランスフォーメーション(GX)に向けての施策を政府に提言した。
東日本大震災後停滞していた「核エネルギー」利用の推進、官民一体となったイノベーティブな投資の促進、成長志向型のカーボンプライシングなどを政策パッケージとして提言したが、その大部分が政府の政策の中に盛り込まれた。
そして今、十倉氏が注力しているのが「分厚い中間層の形成」。「これは構造的な賃上げも含む」と十倉氏。そして、賃上げが消費に結びつくこと、さらには「全世代型の社会保障」であらゆる世代に安心感を与えていくことが求められている。
「働き方改革」も重要。産業構造の変動が起こる中で、硬直的な労働市場を変え、「いい意味での労働移動が起きるようにしなければならない」と十倉氏。
さらに、「人への投資」にも注力する中、足元の物価上昇を受けた賃上げも大きな方向性。
23年1月24日開催した「経団連労使フォーラム」で十倉氏は「今回の物価上昇を契機として、日本社会に染み付いたデフレマインドを払拭し、賃金と物価が適切に上昇する、賃金と物価の好循環が実現できなければ、政府が掲げる『新しい資本主義』は頓挫するとの強い危機感を抱いている」と強調し、賃金上昇への強い意欲を示した。
政府は企業に「物価高を上回る賃上げ」を要請、労働組合で構成される連合は5%という高水準の賃上げを求めている。その中で十倉氏は経団連として会員企業に対して「ベースアップ」の前向きな検討を求めている。
もちろん、中小企業の中には「とても賃上げなどできない」というところも多く、課題は残る。だが、大企業の賃上げが波及することで十倉氏が目指す「成長と分配の好循環」につなげることが、日本経済再生につながる道だと言える。
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