【財務省】「異次元の少子化対策」巡り、児童手当の扱いが焦点に
財界オンライン / 2023年2月15日 15時0分
岸田文雄首相が打ち出した「異次元」の少子化対策を巡り、児童手当の扱いが焦点になっている。首相は年頭会見で少子化対策の筆頭に児童手当の拡充を掲げたが、政府は昨年10月に世帯年収1200万以上の特別給付を廃止したばかり。そもそも自民党は旧民主党政権の「子供手当」をバラマキと批判し、所得制限を訴えてきた経緯があり、過去の主張との整合性を問われている。
「異次元」の言葉に見合う支援を打ち出すには、巨額の財源が必要で、防衛費増額に伴う増税に続く負担増となれば、政権運営に直撃しかねない。
首相の「異次元」発言は側近の木原誠二官房副長官の発案といわれ、事前に財務省を含め首相秘書官は了承していなかったとされる。
実際、財務省幹部は「児童手当はなるべく消したい」と話していたが、4月の統一地方選を踏まえ、低迷する内閣支持率を上向かせるためには「野党が反対しにくい子供政策が最もアピールしやすい」(官邸筋)との考えに傾いた。
児童手当を大幅に拡充する場合、2兆円程度の財源が新たに必要とされる一方、消費増税は「当面触らない」(松野博一官房長官)ため、政府内では「医療保険、雇用保険などとの関係や受益と負担との関係を丁寧に検討」(鈴木俊一財務相)するとして、社会保険料に上乗せする形で財源を確保する案が有力視されている。
ただ、省内では「労働環境の男女格差や家族の在り方など少子化の根本的な要因に手をつけないまま児童手当を増やしても出生数は増えない」(主計局幹部)と懐疑的な見方は多い。
首相は財務省寄りとされるが、省内からは「典型的なバラマキだ」(中堅)と反発が出ている。少子化対策で次世代にツケを回すことになれば、本末転倒であり、無責任極まりないといわざるをえないだろう。
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