【金融庁】地銀の大量離職に危機感 「人的資本」施策を包括検証
財界オンライン / 2023年2月16日 11時30分
人材の価値を引き出し企業価値の向上につなげようとする「人的資本」の考え方が市場で重視されている。日本では2023年3月期の有価証券報告書から開示項目に追加され、企業は人材育成方針や男女間賃金格差などを投資家に分かりやすく説明することが求められる。
そんな潮流を踏まえ、金融庁は銀行の「人的資本」施策をチェックする包括的な検証に乗り出している。背景には、若手・中堅行員などの大量退職が続く地銀が少なくないことへの危機感がある。監督局幹部は「地銀はもはや地方の殿様企業ではなくなった。人的資本経営に本腰を入れなければ、優秀な人材が集まらず、生き残れなくなる恐れがある」と指摘する。
金融庁によると、日銀が「イールドカーブ・コントロール」を導入し、超低金利政策を強化して以降、地銀の行員数減少に拍車が掛かっている。地域一番手行が大半の全国地方銀行協会加盟行では約半数の30行・グループが2ケタの減少。地域2番手以下が多い第2地方銀行協会加盟行に至っては平均で20%以上も減少している。
危機感を抱いた金融庁は、昨夏公表した22事務年度(7月―23年6月)の金融行政方針で初めて重点課題として、銀行に人的資本経営を促す方針を表明。その柱として、昨年末以降の地銀に対する検査から人的資本施策の検証に乗り出している。
具体的には、役職員のスキル向上や、人材育成・研修、採用・人事配置、給与体系などが経営戦略として、取締役会できちんと議論されているかを点検。さらに、上司にモノを言える風土があるか、人事評価、キャリアパスなどが適切に行われ、行員が主体的に能力を発揮できる職場環境が確保されているかについても、きめ細かくチェックする。
若手や中堅の大量離職に歯止めが掛からなければ、地域経済の再生に不可欠な人材が不足し、最悪の場合、業務の継続が危ぶまれるケースも出てきかねない。
「人事施策への過度な介入ではないか」(関東地方の地銀幹部)との反発の声も上がる中、あえて監督行政の新機軸に踏み出した成果が注目される。
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