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八芳園・井上義則社長「婚礼で培った企画力を生かし、『交流文化創造拠点』として発展していきたい」

財界オンライン / 2023年2月17日 15時0分

井上義則・八芳園社長

婚礼を入り口にした「生涯顧客戦略」

 私が大事にしているのは、当社の企業理念です。弊社は1952年(昭和22年)と、まだ戦後間もない時期に創業して以来、「日本人にはこころのふるさとを。海外の方には日本の文化を。」を企業理念に掲げ、「国民食生活の奉仕者」、「日本観光の奉仕者」であろうとしてきました。

【写真で見る】八芳園・井上義則社長の1日に密着!

「こころのふるさと」の実現のために、八芳園のパブリックイメージである結婚式のみならず、その後の周年記念、あるいはお子さん、お孫さんのお祝いなどで継続してご利用いただける、帰ってきていただける場所であり続けるための「生涯顧客戦略」を進めています。これによって独自性が高まり、他社との差別化が出来ているのです。

 さらに「海外の方には日本の文化を」の実現に向けて、MICE(Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Event)に参入しています。婚礼で培ったイベント企画力を生かして、国や地域、さまざまな団体と協力し、日本の「OMOTENASHI」文化を世界中に広め、日本本来の魅力を発信することに努めているのです。

 他にも企画力を生かした事業として、東京・白金台で全国各地の魅力を発信するコンテンツ開発・イベントプロデュースに取り組むためのポップアップ型ショールーム「MuSuBu」も展開しています。

 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、自治体さんが準備していた特産品が、五輪の延期やコロナ禍で使えなくなる中、我々がそれらを買い取り、新たに商品を開発するなどして「MuSuBu」で販売したところ、地元を始め、お客様に大変ご好評をいただきました。地域の新たなコミュニティともなったのです。


コロナ禍を契機に足元を見つめ直す

 コロナ禍は、我々自身の足元を見つめ直し、体質を強化する機会となりました。

 長年にわたってウエディングで成長してきた当社が、前述のような企画力を生かした施設外の取り組みに一気に注力し始めたわけですから、事業基盤が固まっていませんでした。おそらく当初の予定通りに東京五輪が開催されていたら、大変なことになっていたと思います。

 コロナ禍が深刻化する中、20年3月15日から2カ月間、営業を停止しました。この期間に、事業ポートフォリオの見直し、財務を含めた経営体質の再構築を行うことができたのです。

 婚礼のご予約は後ろ倒しになりましたが、ご希望の方には写真撮影をさせていただきました。コロナ後を見据えた希望に満ちた写真を数多く撮影でき、それをご覧になった新たなお客様のご予約が入ってくるという好循環を生むことができました。現在も十二分なご予約をいただいています。

 企業は常に走り続けなければなりませんが、今回は一旦立ち止まって、次に走り出すための態勢づくりをする機会をいただいたのだと思います。まさに「ピンチはチャンス」でした。

 私は今後、八芳園を「交流文化創造拠点」としていきたいと考えています。そして、創業者達が理念として掲げた「日本観光の奉仕者」としての仕事を実現したいのです。

 各地域の観光資源を、我々がプロデュースして掘り起こし、それを海外や他の地域との交流でつないでいく。これが国も掲げている「観光交流」にもつながる道だと思います。今後も伝統を生かしながら、革新を続ける企業でありたいと思います。


いのうえ・よしのり
1970年福岡県生まれ。88年ブライダル企業へ就職。サービス、営業、企画、広報を経験後、婚礼システム販売会社、ホスピタリティツーリズム講師などを経て、2003年八芳園入社。07年取締役営業支配人、08年常務取締役総支配人、13年取締役専務総支配人、21年10月取締役社長に就任。

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