【ずいひつ】トモノカイ 徳岡臣紀社長が語る「教員の働き方改革に向け民間の力をフル活用しよう」
財界オンライン / 2023年5月5日 11時30分
2000年は13倍だった教員採用倍率が22年は3.7倍にまで落ち、中には1倍に近い自治体も現れ、不人気の一途を辿っています。何が不人気につながっているのでしょうか。
それは「働き方」と「成長」だと考えています。学校現場の状況は様々で一概には言えませんが、朝8時前から夜21時以降まで長時間労働を強いられ、それが長期化、常態化しているという学校も多々あります。
本来必要な学びや生徒へのコーチングの時間に使えれば良いのですが、官公庁からの調査協力をはじめ、事務業務や部活動などの課外活動、ICT教育やグローバル教育、探究的な学びなど新しい学びの調整業務など、本質とは異なる部分に時間を割くことが多く、その傾向は一層強くなっていると考えています。
そして、もう1つの観点が成長です。時間的にも環境的にも外部との接点を作りづらいため、外部から刺激を受けて世の中がどのように変化していくのかを考える機会が少なく、新しいものを生み出す感性や、どの業界でも生かせる力、ビジネススキルなどを取得することも相対的に難しくなっています。
その結果、成長したい人材からも敬遠され、有望な若手が集まりにくいため、既存の教員の環境改善にもつながらないという悪循環に陥っているのです。
この悪循環を断ち切るには、外部の力をフル活用することに尽きます。外部の力としては、地域市民のボランティアやNPO、民間事業者などが考えられますが、それぞれに活用のメリットとデメリットがあります。
地域市民のボランティアはコスト面を抑えて開かれた学校を実現するには最適ですが、現実には安定性やモチベーションの持続が困難になるケースが散見します。また無償に近い場合、学校から意見を述べにくいということもあります。
NPOは強い理念を持っていることが多く、学校の課題と合致する場合は問題解決につながりやすい一方、名物理事長など個に依存する部分があります。適切なNPOに出会える機会も限定的で、それを探す時間がかかると当初の目的である教員の負荷軽減につながりません。
民間事業者は、安定性は高く、正しい事業者を選択すれば適切なプランで調整コストを削減しながら目的を達成できます。ただ、相対的にはコストが高くなるというデメリットもあります。
クオリティやサービスの安定性、コスト、導入の障壁などの観点から、正しく評価することが必要です。同時に、活用する外部をマネジメントするノウハウやスキルを、学校内部や教員の方々に蓄えていくことも大切です。自前主義ではなく、外部のメリットとデメリットを加味して各校に必要なパーツをそろえていくことで、その学校の特色を出すべきと発想を転換してはじめて、外部の力はフル活用できると考えます。
手前味噌ながら当社では、大学生による高校や中高一貫校での放課後学習サポートを中心に、教員の働き方改革や学校改革を支援しています。学校ごとの課題にあわせてサポート内容をカスタマイズし、ある千葉の中高一貫校では大学生のアドバイスで個々の生徒の学ぶ意欲を高めた結果、教員の月間平均残業時間を4分の1に削減。教員は削減できた時間を教材研究や授業準備の時間に充てています。
このようなサービスに限らず、様々な外部の力を最大限活用し、社会の起点である教育の現場を人気で憧れの職場にすることが、日本の教育パフォーマンスの向上や国力の向上にもつながっていくと信じています。
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