「 賃上げと少子高齢化対策を!」経営者の危機感と覚悟が続出した『関西財界セミナー』
財界オンライン / 2023年3月1日 7時0分
企業経営者が一堂に会し、社業の枠を超えて…
「1963年に始まった関西財界セミナーは開始からちょうど60年が経ち、日本を取り巻く状況は大きく変わった。還暦とは言うまでもなく、もう一度生まれ変わって出直すということを意味する。われわれ経営者は、日本がこの転換期を乗り越えるべく、今一度、真摯に議論する必要があるのではないか」
こう語るのは、関西経済同友会代表幹事(プロアシスト社長)の生駒京子氏。
2月9~10日の2日間にわたり、京都市内の国立京都国際会館で『関西財界セミナー』(関西経済同友会・関西経済連合会主催)が行われた。
関西財界セミナーは今回が61回目。過去2年はコロナ禍でオンラインによる開催だったが、今回は3年ぶりとなるリアルでの開催。会場には連日、関西を中心とする経済リーダー500名超が集まり、来場者からは「オンラインでは議論が白熱しないリアル開催を待っていた」という声も聞かれた。
今回のテーマは『変動する世界、日本の針路』。世界中に新型コロナウイルス感染症が蔓延して3年、ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過し、様々なサプライチェーン(供給網)が分断。足元ではエネルギー価格や原材料価格が軒並み高騰。円安も重なり、国民生活や日本企業を取り巻く環境は厳しい。
それでも、関西経済には明るい話題も多い。2024年に先行して街びらきとなるJR大阪駅北口の再開発「うめきた2期」、翌25年には大阪・関西万博、27年には生涯スポーツの祭典「ワールドマスターズゲームズ」の開催、そして統合型リゾート(IR)誘致など、発展の起爆剤となり得るイベントが相次いでいるからだ。
そうした中、関西経済連合会会長(住友電気工業会長)の松本正義氏が「われわれ関西の経済人が、我が国の針路がどうあるべきかについて、しっかりと議論をして方向性を定め、具体的なアクションを起こしていくべき。社会・経済が新たなフェーズに入る今、企業経営者が一堂に会し、社業の枠を超えて国や地域、企業経営の在り方について議論し、関西、そして日本の針路を見出せれば」と語る。
〈関西浮揚に何が必要か?〉大阪商工会議所・鳥井信吾会頭を直撃
危機感が経営者の行動変容を促すことはできるか
今回で61回目となった関西財界セミナーだが、1回目の関西財界セミナーが開催されたのは、前回の東京五輪が開催される前年の1963年。日本は五輪景気真っ只中で、産業保護政策から自由貿易へと転換し、グローバル化へ向かって突き進もうとしていた時代である。
あれから60年、近年は有力企業が本社機能を東京に移転するなど、関西の存在感低下が叫ばれて久しい。また、ここで議論したことが、その後の社業や社会活動に活かされているかが見えにくく、関西財界セミナーそのものの意義を問う声が出ているのも事実である。
今回、多くの出席者に共通していたのは危機感だ。関経連会長の松本氏は「日本はいつの間にかシェアホルダー・キャピタリズム(株主資本主義)に陥ってしまった」と指摘。
失われた30年と言われる中で、1992年からの30年間で配当や自社株買いの金額が7・8倍になった一方、賃金は8%しか上がっていない。そうした日本の現実を踏まえつつ、「賃上げしなければ消費が伸びるわけがないし、社員のやる気も出ない。一生懸命に働いてくれている若い人に報いることは経営者の責任だ」と訴えた。住友電工は5%程度の賃上げを想定しているようだ。
今は原材料価格の高騰に悩む企業や生活者も多いが、これを機に賃金上昇につなげ、真のデフレ脱却へつなげることができるか。まさに正念場である。
また、レンゴー会長の大坪清氏は「日本の最大の問題は少子高齢化対策。今こそ人への投資が大事」と主張。同社では2006年から出産祝い金制度を改定。第3子以降の子供が生まれた社員には100万円を支給するなどの少子化対策を進めてきた。それだけに、「一過性の賃上げではなく、継続的な賃上げや少子化対策など、企業には具体的な行動が求められる」と、大坪氏の語気も荒い。
今回の議論や提言を生かすも殺すも参加者次第。危機感が経営者の行動変容を促すことができるか、が問われる今回の関西財界セミナーであった。
日本企業の99%を占める中小企業の底上げをどう図る? 答える人 小林 健・日本商工会議所会頭
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