【テルモ】佐藤 慎次郎社長CEOの 「3本柱で世界と戦っていく」
財界オンライン / 2023年3月8日 18時0分
「社会課題に応えるために何をしなければいけないかを考えてきた。医療の中心課題を自分たちで探り当て、その課題解決に挑戦して事業を大きくしてきた」─。2021年の創業100年を踏まえ、こう語る。
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1921年に体温計の国産化からスタート。当時はスペイン風邪が猛威を振るっていた最中。国産の良質な体温計の提供を通じて日本の医療の近代化を担った。60年代には使い切り(ディスポーザブル)の注射器を日本で初めて導入した。「医療安全がこれからの医療の発展に求められていた」からだ。
その後の10年でプラスチック素材の輸血用血液バッグや輸液バッグなどを続々と開発し、80年代以降はカテーテルを中心に低侵襲治療にも進出した。「患者さんに身体的な負担の少ない医療を提供する時代が来た」からだ。
カテーテル治療のキーデバイスである「ガイドワイヤー」でもテルモは存在感を示している。診断・治療用カテーテルを血管内の目的部位へ誘導(ガイド)していくワイヤーだ。安定した操作性や医療従事者の利便性を考慮した製品を展開し、テルモのガイドワイヤーは世界のスタンダードになった。
テルモの理念はコロナ禍でも医療機器メーカーの立場で発揮された。その1つがエクモ(体外式膜型人工肺)。コロナ患者が重症化した場合の〝最後の砦〟として活躍。同社のエクモは国内市場で約7割のシェアを持ち、日本の救急医療現場を支えた。
多角化を進めてきた結果、カテーテルなどを扱う「心臓血管カンパニー」、医療現場の様々な課題解決に取り組む「メディカルケアソリューションズカンパニー(旧ホスピタルカンパニー)」、血液バッグや細胞治療製品を提供する「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の3本柱で事業を拡大させていく。
海外売上高比率は7割以上、従業員も8割が外国籍だ。だが、現状で満足はしていない。「海外市場でトッププレイヤーたちと戦えるような形に持っていきたい」と語る。
同社は社員を「アソシエイト(仲間)」と呼ぶ。日本を含め世界では医療のDX化が進み、個別化医療が広がっていく。しかしたとえ医療の在り方が変わっても『医療を通じて社会に貢献する』というテルモの企業理念は変わらない。テルモのパーパス(存在意義)を共有する〝仲間〟と共に次の100年を見据えた経営を担っていく。
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