三井住友FGが個人向けアプリ 「金融サービスの新標準に」

新サービスを発表した、太田純・三井住友FG社長（右）、大西幸彦・三井住友カード社長

「これまでの金融・決済の概念を打ち破る新サービス」と力を込めるのは三井住友フィナンシャルグループ（FG）社長の太田純氏。

　2023年2月3日、三井住友FGは個人向けの「金融・決済のフルモバイルサービスを実現するスーパーアプリ」（太田氏）である「Olive」の提供を23年3月から開始すると発表した。

　このアプリには銀行口座、カード決済、ファイナンス、オンライン証券、オンライン保険などの機能が一括で搭載されている。さらに1枚でキャッシュカード、クレジットカード、デビットカード、ポイントカードの機能を切り替えられる「フレキシブルペイ」という機能を持つ。これはビザワールドワイドとの共同開発で、世界初の機能となる。

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　このアプリ開発の背景には、三井住友FGの「危機感」があった。コロナ禍によって人々の生活は大きく変わったが、中でも「キャッシュレス」が浸透し「モバイルへの大変革が進んでいる」と太田氏。

　銀行店舗の閉鎖が進む一方で、ネット専業の金融機関が存在感を強めており、まさに「転換点」が来ているといえる。

　太田氏は、この「Olive」を「金融サービスの新スタンダード」と位置づける。店舗のあり方も、このモバイルサービスを起点に考えていくことになる。

　このアプリは提携の一つの成果も示している。三井住友FGはSBIホールディングスと包括提携しているが、今回のサービスではSBI証券を資産運用のメインサービスと位置づける。若い世代を中心にモバイルでの資産運用が広がっていることが背景にある。グループのSMBC日興証券は対面、法人を担う形で棲み分ける。

　さらに三井住友FGは今後、自社の「Vポイント」と、提携した「Tポイント」を統合し、新ポイントを創出する。

　今やポイントはサービスが選ばれるための重要ツールだけに、新ポイントをどれだけ浸透させられるかも、アプリ成功のカギを握っている。

　今後は非金融事業をも取り込む「プラットフォーム」とすることも目指していく。