「若返り」と「専門性の強化」が決め手 【西武HD】の新社長に西山隆一郎氏
財界オンライン / 2023年3月9日 11時30分
18年ぶりの社長交代となった西武ホールディングス(HD)。4月1日付で社長の後藤高志氏(73)が会長兼CEOとなり、取締役常務執行役員の西山隆一郎氏(58)が社長兼COOに昇格する。西武グループにとっては2代続けて第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)出身者がトップに就く形だ。
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後藤氏によると、社長交代のテーマは「若返り」と「専門性の強化」だ。西山氏を含め、西武鉄道、不動産事業を展開する西武リアルティソリューションズの社長が50代、西武・プリンスホテルズワールドワイドの社長が61歳と、主要子会社の経営陣の年齢層が大幅に若返る。
また、各トップは鉄道、不動産、ホテルのプロフェッショナル。西山氏はこれらの中核会社をまとめ、コロナ禍の20年度に700億円超の赤字を計上した業績を回復から成長へと軌道修正させることが使命となる。
21年に策定した中期経営計画では、ホテルの保有と運営の一体構造から運営に特化する「アセットライト」戦略に切り替え、鉄道では需要に合わせたダイヤ・路線などを展開することで損益分岐点を引き下げ。「量から質へ」(西山氏)と舵を切る。また、品川駅高輪口前の再開発など東京23区内に抱える約47万平方㍍の優良不動産の活用なども今後の成長のカギを握る。
西山氏は横浜国立大学経済学部を卒業後、第一勧銀に入行。09年から西武HDに入社し、主に広報部門を歩む。13年から14年にかけて米投資ファンドのサーベラスと対立激化した際、フェアな対応と的確な情報発信を徹底し、株主などからの理解を求めることに汗を流した。それが後藤氏の目にも止まった。
かつて後藤氏は、みずほ銀行で広報室長だった関根正裕氏を腹心としたことがあり、業界でも関根氏は「後藤氏の後釜」と言われた。しかし、14年に西武HDが再上場を果たすと、関根氏は商工組合中央金庫へ。代わって西山氏が後藤氏を支える役回りとなった。
後藤氏は西山氏の「明朗快活な性格、逃げない仕事ぶりと的確な判断、部下やグループへの信頼の厚さ」を評価する。新体制では〝ツートップ〟を標榜するが、「当面は後藤体制が継続するのでは」と業界関係者は語る。
コロナ禍を教訓として新たな戦略を打ち出した西武グループ。後藤氏のワンマン経営からチーム経営に移行できるかどうかがカギを握りそうだ。
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