【農林水産省】青果物輸出の拡大へ 原産地証明の手続き簡素化
財界オンライン / 2023年3月2日 15時0分
政府は、経済連携協定(EPA)を活用した青果物の輸出に必要な原産地証明書の発給手続きを簡素化した。煩雑な作業を省くことで、リンゴやブドウなど人気が高い日本産果物の輸出拡大につなげるのが狙い。
新たな運用では、卸売業者の要望を踏まえ、青果物の産地名を日本商工会議所に届け出れば、原産地証明書を発行できるようにした。これまでは、生産者の氏名や住所などの情報が記載された仕入書の提出が必要だった。これだと卸売業者が生産者ごとに証明書を取らなければならず、同じ青果物を大量に集める際、手間が掛かって輸出促進の足かせとなっていた。
次回以降、産地が同一の青果物を輸出する場合、過去の原産地判定を活用し、証明書を受け取ることができる。日本や中国、韓国、オーストラリアなど15カ国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)に加え、日豪EPAなど2国間の協定を活用した輸出が対象となる。
税率を抑えたEPAの活用が広がれば、輸出価格も抑えることができるため、品質の高い日本産果樹などの海外出荷が増えそうだ。
足元の農林水産物・食品の輸出は好調を維持。22年の輸出額は前年比14・3%増の1兆4148億円に上り、10年連続で過去最高を更新した。円安で商品が割安となっていることや、コロナ禍で急減した外食需要が欧米を中心に回復していることが追い風となった。
現状の伸び率が続けば、25年に輸出額を2兆円に引き上げる政府目標の達成も視野に入る。
野村哲郎農林水産相は「官民一体となった輸出拡大の取り組みをさらに進めていきたい」と話している。
ただ、30年に輸出額を5兆円に増やす目標はハードルが高い。輸出先ごとのニーズを正確に捉えた生産体制の確立が急がれる。
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