【司書への転身】谷一文子・図書館流通センター社長の「人生の転機」
財界オンライン / 2023年2月26日 11時30分
わたしは大学卒業後、臨床心理士として地元・岡山の病院に勤務していました。結婚・出産を経て復帰しようとしていたのですが、わたしが所属していた診療科が無くなってしまい、居場所が無いので、大学時代に資格だけ取得していた司書として岡山市立中央図書館で働くことになりました。間違いなく、このことが一つの転機です。
ところが、大変大きな図書館で仕事にやり甲斐を感じていた矢先、夫の転勤で東京に来ることになりました。当時、わたしはすでに30歳を過ぎており、地方の公務員だったわたしを雇ってくれる企業などありません。そんな折、図書館流通センターの営業として岡山の図書館でお世話になっていた方が大学の先輩だったという縁で、声を掛けていただき、1991年に当社へ入社することになりました。
データ部で新刊データの入力を行うことから始まり、大学や自治体のデータベース化や図書館運営立ち上げに携わったりして、非常に楽しく仕事をさせてもらいました。2003年には地方自治法の改正によって指定管理者制度が始まり、図書館運営を民間に委託する動きが加速。現在は北海道から沖縄まで全国560の図書館を運営しており、本を通じて様々な方に出会うことができました。
中でも印象的なのが、代表取締役会長だった2014年に海老名市立中央図書館(神奈川)の館長を兼務したことです。
市内の各小学校をすべて回り、地域の方々はどんな本が欲しくて、どういう不満があり、図書館にどんなことを望んでいるのか。本社から図書館運営を語るのではなく、本当のお客さんと直に向き合うことで、地域とつながって初めて図書館が成り立っているのだということを改めて感じました。それも大きな転機の一つだったと思います。
最近は図書館の役割も変わりつつあります。〝本は手段・主役は市民〟ということで、本が好きな人だけが集まるのではなく、一人で勉強したい人も、イベントに参加したい人も、図書館はたとえ、本に関心が無くても、いろいろな人が集まるような地域交流の場になっています。
当社も今までは、図書館という狭い世界を広げていくことにこだわってきました。今後は図書館の先にいる全国のお客さんが幸せで豊かな生活を送ることができるよう、新たな事業やサービスを生み出していきたいと考えております。
大日本印刷・北島義斉社長が語る2023年 「DXの推進で地方創生を!」
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