空港の脱炭素化に向け、東京ガスと成田空港が協業
財界オンライン / 2023年3月15日 15時0分
エネルギーの脆弱性が改めて浮き彫りになる中で…
「これまで培ってきたエネルギー供給に関する知見・技術力をもとに責任のあるトランジション(移行)に挑戦していく」
こう語るのは、東京ガス社長の内田高史氏。
東京ガスは成田国際空港と共同出資会社を設立し、空港の脱炭素化へ本腰を入れることになった。空港の滑走路脇や建物の屋根など、東京ドーム約42個分あるという敷地に太陽光パネルを設置。空港としては世界最大規模となる180メガワットの大規模太陽光発電設備で、一般家庭7万世帯分を発電する計画。
この他、水素や二酸化炭素(CO2)を再利用する〝e-メタン(合成メタン)〟などを活用した新たなエネルギープラントの建設も想定。2050年までに1000億円を投じ、空港の脱炭素化を進める方針だ。
両者の協業を後押ししたのは、世界的に脱炭素化の波が押し寄せる中、「空港でも脱炭素化を進めなければ、世界の航空会社から選ばれなくなる」(成田国際空港社長の田村明比古氏)という危機感。国際的な空港間競争に対応するため、2050年に空港施設で使用するエネルギーや業務用車両から排出するCO2の実質ゼロが目標。
将来的には、世界に先駆けて〝空港の脱炭素モデル〟を構築し、技術やノウハウを空港周辺の都市開発などへ展開することも視野に入れているという。
ロシアによるウクライナ侵攻から1年余、円安も重なり、この間に分かったことは、日本のエネルギーの脆弱性が改めて浮き彫りになったということ。
政府はこれまで原則40年、最長60年としていた原子力発電所の利用について、60年を超えても利用できるよう法律を改正する方針を決めた。
現在、日本のエネルギー自給率は約12%。エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている現状を改善するには、原子力の稼働を増やすか、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やすしかない。
東京ガスがこれまで培ってきた知見や技術力を生かして、成田空港における安定的なエネルギー供給と脱炭素化の両立を実現することはできるか。
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