【農林水産省】卵価上昇で家計負担増 鳥インフルによる餌代高騰響く
財界オンライン / 2023年3月23日 15時0分
卵の価格が高止まりしている。家畜の餌となる配合飼料価格の高騰や致死率の高い高病原性鳥インフルエンザの大流行に伴う卸売価格の上昇がスーパーなどの小売価格に波及。卵を産む鶏の殺処分数は1300万羽超と国内全体の飼養羽数の約1割にまで拡大し、供給面でも加工向けで不足感が生じている。鳥インフルの収束は見えず、卵の値上がりで家計への負担は増すばかりだ。
農林水産省が発表している食品価格動向調査によると、鶏卵の2月全国平均小売価格は1パック(サイズ混合、10個入り)当たり262円と、過去5年間の平均価格と比べ25%上昇。前月比で8%値上がりした。
卸値は一段と上昇している。JA全農たまご(東京)が2月22日に公表した卸値の基準値(Mサイズ、東京地区)は335円。2月平均価格では同日時点で326円となり、1981年の393円に次ぐ異例の高水準で推移している。
鳥インフルは、渡り鳥が飛来する秋から翌年春にかけてまん延する傾向にあり、例年通りなら徐々に発生は落ち着くと見られる。ただ、鳥インフルによる殺処分後、導入した鶏が再び卵を生むまで約半年かかるとされており、すぐに生産を回復させることができないのが実情だ。
一部のコンビニや食品メーカーでは、鶏卵の供給不足が響き、卵を使った商品の販売休止や縮小に追い込まれた。特定の契約農場から仕入れているスーパーでは、家庭向けの生食用パック卵が一時棚から全て無くなる事態も生じたという。
こうした状況を受け、農水省は生産者らに対し、供給量を増やすために採卵鶏を飼う期間を延長するよう要請。また、ほぼ毎日消費する家庭向けを優先的に供給するよう求めた。ただ、生産者からは「飼育期間の延長は出来ても2~3週間」との声が聞かれており、どこまで効果的かは不透明だ。
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