人材流出、学生人気低下に悩むメガバンク、賃上げを打ち出す
財界オンライン / 2023年3月24日 18時0分
若手行員の社外流出を防ぐ
「東大や早慶など有名大学の卒業生が外資系コンサルタント会社や大手商社、トヨタ自動車などにドンドン流れていく」─。
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あるメガバンクの採用担当者がこうため息を漏らすように、かつて就職戦線でトップクラスの人気を誇った面影は今や感じられない。
メガバンクの間で賃上げの動きが広がっている。象徴的なのは新入社員の初任給の大幅引き上げ。3メガは長らく20万5000円で横並びだったが、三井住友銀行が2023年4月に入行する大卒新入社員の初任給を25万5000円と5万円もアップ。呼応したみずほ銀行が24年4月入社組から26万円とする方針を決め、三菱UFJ銀行も遜色のない水準にする見通し。
初任給の上昇は、既存行員の基本給を一律に引き上げるベースアップにも連動するため、各行内は歓迎ムード。
ただし、3メガの経営陣が約16年ぶりという初任給を含めて大幅な賃上げを決断した背景を探ると、新卒就職市場での銀行人気の凋落や、若手行員の流出に歯止めを掛けたいとの切実な思いがうかがえる。
せっかく苦労して採用した優秀な人材が「仕事が面白くない」などの理由で中途退職し、有力ベンチャーなどに転職する動きも後を絶たない。伝統的な金融サービスに軸足を置くメガバンクの新サービス投入の動きは新興企業に比べて鈍く、「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い世代にとって仕事の魅力が薄れているのは確かだろう。
賃金水準も他業界に劣らないが、「若い頃に滅私奉公する代わりに、中高年になれば世間並み以上の報酬がもらえる」という都銀時代から続く賃金モデルが、今の若い世代に魅力的かどうかは疑問。
さらにメガ各行では、入行後の配属先や異動先に行員の希望を反映させやすくさせたり、社内ベンチャーを後押しするなど、あの手この手で若手行員を引き留めようと躍起。果たして一連の待遇改善策で人材流出の流れに歯止めを掛けられるか。
金銭による処遇にとどまらず、いかに働きやすい職場をつくるか、DX時代に金融のあり方の再構築が求められている。
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