ローソン社長・竹増貞信「〝スイーツのローソン〟から〝店炊きごはんのローソン〟に進化する!」
財界オンライン / 2023年3月29日 7時0分
本部の利益ではなく加盟店の店利益重視へ
─ 竹増さんが社長になって6年半が経ったわけですが、約半分はコロナとの戦いだったわけですね。そこも含めた上で、この6年半をどう総括していますか。
竹増 わたしが社長に就任した頃はコンビニ業界の踊り場にあったと思います。業界全体で本部とオーナーさん、加盟店さんとの関係が社会問題になりまして、もう24時間365日営業するのは耐えられないという声が大きくなってきました。
いろいろ課題はありますが、背景にあるのは人手不足であったわけです。そこから再成長に向けて、IT投資を行なったり、店舗投資を行なったりしまして、最初の2年ぐらいはこの問題に向き合ってきました。
─ 人手不足は全産業に共通した問題ですが、とりわけ、コンビニ業界では人手不足が深刻化しています。どのように手を打ってきたんですか。
竹増 やはり、人手不足を解消するには、店舗のオペレーションをより効率化しないといけない。それに加え、しっかり人を雇用でき、いわゆる加盟店さんの店利益がもっと上がっていかないと、この問題は解決しないだろうと考えました。
そこで本部のKPI(評価指標)を本部の利益ではなく、加盟店さんの店利益に切り換えるぞと宣言しまして、走り出したんです。ところが、その3カ月後にコロナがやってきて、大変な状況になりました。
一時はコロナの影響で加盟店さんの売上が15%、20%落ちたりしまして、それこそ瀬戸際に立たされた加盟店さんも沢山あったんですが、コロナになったからといって、われわれが店利益経営の旗を降ろすことはできません。むしろ、こういう時こそ、加盟店さんの店利益を最優先して頑張ろうと、徹底的にコストの見直しを図りました。
一方で、売上が落ちたところを放置しておくわけにはいきません。例えば、「店舗理想形追求プロジェクト」というのがありまして、巣ごもりになったのでお客様は冷凍食品が欲しいと。そうなると店に冷凍ケースが必要です。でも、冷凍ケースを新たに設置するには、いくつか店内を改装しなくてはならない。
あるいは、気軽に外食に行けなくなったから、出来立てのお弁当が食べたいと。でも、普通のコンビニ弁当では飽きたから、店内厨房で炊いたお米を使ったお弁当が欲しい。われわれはこれを〝厨房弁当〟と呼んでいまして、「厨房弁当って美味しいよね」と言っていただけるお客様が多いということで、もっと広く展開しようと考えました。それまで、店内調理ができる厨房のある店は5~6千店舗だったんですが、今は9千店舗を超えるところまで来ました。こういう改革を実行してきたということです。
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〝スイーツのローソン〟から〝店炊きごはんのローソン〟に
─ そうなると、かなりの手間がかかりますね。
竹増 もちろんです。でも、コロナの1年目で営業費をぐっと落としましたから、その分を厨房の人件費に充てまして、より付加価値の高いものをお客様に提供していく。実はこれが今、他のコンビニさんにはない、われわれしかない大きなアピールポイントになっています。
コロナ禍で外食さんが皆、店頭でお弁当を販売するようになりました。しかし、それまでお弁当といったらコンビニだったわけです。外食さんが皆、お弁当屋さんに変わってしまったわけですね。しかも、彼らは当然、お店でご飯を炊いていらっしゃいます。それに対抗できるコンビニは当社しかありません。
お客様にとって、これまでローソンというのは〝スイーツのローソン〟でした。われわれは今、更に〝店炊きごはんのローソン〟もプラスしようと考えています。
─ 実際、加盟店の反応はいいですか。
竹増 ええ。わたしがこういう話をすると、加盟店さんもそうだと。ここは一つ、気合い入れて頑張ろうじゃないかということで、本部と加盟店さんが一緒になって改革を行いまして、今は改装が一巡し、商品開発も一巡して、お客様を迎え入れる準備が整ったところです。
こうした取り組みの結果、実は昨年の秋から売り上げが2019年の水準まで戻ってきました。月によっては過去最高の売上になることもあって、ようやくコロナ前の水準か、それをやや超えるくらいのところまで持ってくることができました。
今年はコロナがいよいよ収束し、インバウンドも含めて人の大移動が本格化します。その中で、お客様が戻ってきてくだされば、さらに売上はアップすると思いますし、今年は本格的にコロナ前の2019年の売上を超えられるような、ローソンにとって、大きな成長の1年にしたいと考えています。
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