ローソン社長・竹増貞信の「デジタル活用と温もりある店づくりの両立を」
財界オンライン / 2023年3月29日 18時0分
リアル店舗とアバター技術を組み合わせることで…
「人手不足を解消するには、店舗のオペレーションをより効率化しないといけない。人がやらなくていいオペレーションについてはどんどんデジタル化していく」と語るのは、ローソン社長の竹増貞信氏。
少子高齢化・人口減少時代に入り、深刻な人手不足が続くコンビニエンスストア業界。事態を打破しようと、新たな技術を活用した取り組みが広がっている――。
今年2月27日から3月12日までの2週間、東京・豊島区北大塚の新業態店舗『グリーンローソン』で、アバター(分身画像)を活用した三重県明和町の伝統工芸品『擬革紙』や『御糸織』などが販売された。
アバターとは、カメラで撮影した自分の身体や動きをリアルタイムでモニターへ投影する仕組み。店員になりすました画面上のキャラクターを介して、遠隔地から来店客にお勧め商品の提案や接客ができる。
例えば、御糸織は、古くから受け継がれる製法で染色した松阪もめんを使用した伝統工芸品。来店者は店にある商品を手に取りながら、モニター上のローソンスタッフに扮した作り手から直接、作り手の思いや商品説明などを聞くことができた。
コロナ禍での巣ごもり需要もあって、近年はオンラインで商品を販売・購入するEC(電子商取引)市場が拡大している。また、自社で企画・製造した商品を中間業者などを通さずに販売するD2C(Direct to Consumer)ブランド企業が増加するなど、ECの普及によって、生産者は店舗を持たなくても商品を販売できるようになった。
しかし、ECだけでは、顧客とコミュニケーションを図りながら、商品の価値や魅力を伝えることは難しい。そのため、ローソンはリアル店舗とアバター技術を組み合わせることで、顧客とのコミュニケーションを図ろうとしている。
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ローソンは以前から、昨今の人手不足に対応するため、店舗のオペレーションを効率化するIT化を進めてきた。
一つは、2018年度に全店導入した「自動釣銭機(精算機)付POSレジ」。外国人やシニアの方でも簡単に操作でき、受け取ったお金や釣銭確認の手間が省けるため、レジ業務の負荷が軽減される。同社の調べでは、これにより精算やレジ点検にかかる時間は一人あたり1.5時間の削減につながったという。
もう一つが、個店別のデータをもとに、自店に最適な品揃えと商品別の発注数をAI(人工知能)が自動算出してくれる「セミオート発注」。弁当やおにぎり、サンドイッチなどの商品数や最適な品ぞろえをAIが自動で算出したり、商品在庫が一定数を下回ると自動的に補充発注される「計画発注」を行うことで、発注にかかる時間は一人あたり2時間の削減につながった。
竹増氏は「人手不足が深刻化する中、デジタル技術による効率化や生産性向上をはかっていくのは、われわれ本部の使命。店舗のオペレーションを効率化し、加盟店さんの店利益を出せるような仕組みをつくっていく」と繰り返している。
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「お店の体温を守っていく」
この他、コンビニやスーパーなどで急速に導入が進んでいるのが「セルフレジ」。来店客が自ら精算し、電子マネーやクレジットカードなどのキャッシュレス決済を行うことで、店員の負担軽減につながるような取り組みを加速している。
また、近年はスタッフを配置せず、監視カメラやキャッシュレス決済を導入し、短時間で買い物ができるような無人店舗も登場。ファミリーマートやJR東日本グループなどが複数店舗を展開しているが、お酒やタバコを販売する際の年齢確認や万引き対策など、まだまだ課題があるのが実態だ。
そうした中、「商品を買うだけであれば、ECで十分かもしれない。しかし、町中にあるローソンに行くということは、知らず知らずのうちに、お客様も人の温かみを求めているのではないかと。人との交流があって体温のある店。これがわれわれの目指す店であり、その体温を守るためにAIなどのデジタル技術を活用して、オペレーションを簡素化していく。そうすることによって、最後までしっかりとお店の体温を守っていきたいと考えている」と語る竹増氏。
デジタル化を進めながら、人の温かみの感じられる店づくりへ――。同社の試行錯誤は今後も続く。
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