新ブランド、航空貨物の買収 【ANAHD】が新需要掘り起こしへ
財界オンライン / 2023年4月6日 11時30分
ANAホールディングス(HD)がポストコロナを見据えた次の一手を相次いでいる。
東海汽船・山﨑潤一社長が語る「島は自然の原石。伊豆半島や館山などと連携を深め、観光航路を拡げたい」
「注力するターゲットは訪日客。アジアから見て首都圏と関西圏の両方に就航地があることが競争優位の観点で必要だ」
同社が立ち上げる新たな航空ブランド「エアージャパン」の社長・峯口秀喜氏は語る。同社は24年2月に就航予定で、日本と東南アジアなどを結ぶ中距離国際線を担う。成田空港を拠点とし、25年度には6機体制に広げ、3年目の黒字化を目指す。
既存のビジネス客をターゲットとする全日本空輸、短距離国際線と国内の旅行客を主軸に据える格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションに続く3番目のブランドとなる。LCCでは一般的な小型機ではなく、中型機のボーイング787を使い、324隻ある座席は全てエコノミークラスにする。
エアージャパンはANAとピーチの中間との位置付け。座席間隔を通常よりも広くし、機内食やボーディングミュージックには日本文化の要素を取り入れた。運賃はLCCに近い「手頃な価格」(同)にする。さらにピーチよりも遠い就航地を結び、国内線を運航するピーチとの乗り継ぎ需要の獲得も狙う。
日本航空(JAL)との対比で言えば、LCCでは会社設立や就航などでANAが先行したものの、長距離LCCの領域ではJALが先陣を切っていた。その点、ANAの新ブランドがJALの長距離LCCと鎬を削ることになりそうだ。
また、航空貨物事業のテコ入れにも動く。日本郵船の100%子会社の日本貨物航空(NCA)を10月にも買収。大型機を含む貨物専用機15機を保有する同社を加えることで、欧米便の不足にも対応可能となる。
もともとANAHDは貨物機と旅客便の貨物スペースを組み合わせたコンビネーションキャリア。日本や中国―アジア間で存在感を発揮していたが、アジア―北米の長距離で使える機材は2機しかなかった。NCAの買収でその課題が解決する。
JALは貨物機を保有していない。その点、航空貨物ではANAHDが先を行く。ただ、NCAは直近まで債務超過の状況にあり、ANAHDもコロナ禍での資金調達などで有利子負債も膨らんでいる。攻めの中にも慎重なかじ取りが求められる。
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