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【外務省】元徴用工問題で日韓合意 両国関係は雪解けムード

財界オンライン / 2023年3月31日 11時30分

日韓最大の懸案だった元徴用工訴訟問題で日韓合意が結ばれ、両国関係は雪解けムードに包まれている。この裏には、官邸の強い意向を受けた外務省関係者による秘密交渉があった。

「尹錫悦大統領は関係改善に本気だ。久々に話のできる相手でもある。ただ、日本には苦い経験もある」

 岸田文雄首相は昨年9月、ニューヨークで尹氏と約30分面会。帰国後、官邸に外務省の船越健裕アジア大洋州局長らを呼び出し、合意案を作るよう指示を出した。以後、外務省では船越氏や吉広朋子北東アジア第1課長らが中心となり、韓国当局と接触を重ねた。秘密交渉は日常業務のない土日を中心に行い、外務官僚がソウルの空港で協議することもあったという。

 岸田首相には外相時代の2015年、慰安婦問題で日韓合意を主導しながら、事後の文在寅政権に反故にされた経験もある。首相は省幹部に「債務が財団に移っただけでは、韓国で政権交代後、再び日本企業に支払いを求めかねない」などとして、安易な妥協をしないよう求める一幕もあった。

 日韓間では、①被告となった日本企業の賠償金を韓国政府傘下の財団が肩代わりして支払う②日本は新たな謝罪文書や談話を発表しないが、岸田首相が歴代政権の歴史認識を「引き継いでいる」ことを表明する─などの解決案をまとめた。韓国が案を発表した3月6日、船越氏が記者団を集め、「(韓国が賠償請求を行える)求償権の行使は想定されない」とわざわざ表明するなど注意も払った。

 首相は今年5月のG7広島サミット(主要国首脳会議)に尹氏を招待する予定で、徴用工問題を春までに解決することは至上命題でもあった。省幹部は「家族にも告げずに密かにソウルを訪れたこともあった。ようやく落ち着く」と安堵の表情を浮かべる。

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