エデンレッドグループ ベルトラン・デュマジー会長兼CEOが語る「従業員の購買力を支え『食事補助』で優秀な人材を」
財界オンライン / 2023年4月12日 15時0分
コロナ禍でリモートワークが普及し、昨今の世界的に進むインフレで経済環境が悪化しています。そして、グローバルでの労働人口の減少が予測されており、世界中のどんな企業にとっても従業員のエンゲージメントの向上や人材流出の抑制・人材獲得は避けて通ることができない大きな経営課題です。
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いかに優秀な人材をつなぎとめるか。その1つの方策が福利厚生の一環となる「食事補助」です。実は日本の食事補助を取り巻く環境は世界と比べても後れを取っているのが現状です。
2022年9月の調査では、ビジネスパーソンの8割以上が物価上昇によって家計が苦しくなったと回答。さらに商品やサービスが値上げされていますから、影響は当時よりも厳しくなっていると推測できます。その結果、何が起こっているのか。
それはランチ代の節約です。先の調査時点での平均のランチ代は439円に留まり、食費節約のために欠食する人も少なくありません。栄養に乏しいランチになれば、仕事中のパフォーマンスは低下します。それは企業にとっても損失を生むことにつながります。ですから従業員の購買力をサポートすることが企業の福利厚生の面でも非常に重要な要素になるのです。
実際、世界では食事補助額は上がっています。当社の拠点があるフランスでは1日当たりの食事補助額は約1719円。昨年比で17%増加し、ドイツの補助額は約968円で前年比5%増。トルコに至っては補助額は約793円で前年比323%の増加です。一方で、日本は僅か約166円と、40年変わっていません。食事補助の位置づけを底上げする必要があります。
食事補助は単なる福利厚生の一環ではありません。大きく4つの効能があります。1つ目は従業員本人のモチベーションアップ。2つ目は社員のモチベーションアップによる企業業績向上への貢献。3つ目はレストランや飲食店への送客による雇用創造。そして4つ目が国全体への経済波及効果です。
日本は〝失われた30年〟でデフレの価格体系に慣れてしまいました。食事補助もその波に飲み込まれ、低い水準のまま放置されてきたのです。しかし今は新たな局面を迎えています。前提が変わってきたのですから新たな取り組みをしていかなければ生き残ることはできません。
当社は1962年、シャンゼリゼ通りの側に店を構えたオーナーが周囲の企業から顧客を呼び込むために映画館の使用期限切れチケットを使って、従業員がレストランでの食事と交換できるクーポン券として周辺の企業に販売することを思いつきました。それが当社の食事補助ソリューション「チケットレストラン」の原型になります。
チケットレストランは電子食事カードを配布し、導入企業の社員はそれを使って街の飲食店やコンビニを社員食堂代わりに利用できます。全国どこでも利用できるため、勤務形態や勤務地が変わっても健康的でバランスのとれた食事をとっていただけるようになります。
今では世界45カ国で展開し、導入企業数は90万社、従業員は5000万人、加盟店200万店をつないでいます。日本でも2000社以上が導入し、7万超のお店で使えます。
食事補助には非課税枠も設けられており、現金支給にはない税制メリットもあります。食事補助はもはや企業の差別化要素の1つになっているのです。福利厚生の〝後進国〟から抜け出し、グローバル競争を生き抜いていくためにも国民一人ひとりの発想の転換が求められます。
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