セブン&アイが売上高11兆円 日本の小売業で初の大台突破
財界オンライン / 2023年4月19日 18時0分
物言う株主との関係をどのように構築していくか
「グループの成長の源泉となるものは『食』であり、その強みを活かしてフォーカスする事業はコンビニエンスストア事業であるということを強調したい」
こう語るのは、セブン&アイ・ホールディングス社長の井阪隆一氏。
セブン&アイが2023年2月期の連結決算を発表。売上高にあたる営業収益は11兆8113億円(前年同期比35%増)、営業利益5065億円(同30.7%増)、最終利益2809億円(同33.3%増)といずれも過去最高となった。
営業収益が10兆円の大台を超えるのは日本の小売業で初めて。北米を中心とする海外コンビニエンスストア事業が大幅に伸びた。21年に2兆円を超える巨額買収で傘下に入った、ガソリンスタンド併設型コンビニを展開する米スピードウェイの効果が大きい。
それでも、今期(24年2月期)は営業収益11兆1540億円(同5.6%減)、営業利益5130億円(同1.3%増)、最終利益2850億円(同1.4%増)と減収の見通し。ガソリンの小売価格が低下すると見ている他、「23年度は引き続きエネルギーコストや人件費などのコスト上昇が見込まれ、非常に厳しい事業環境となると想定している」(井阪氏)。
足元では構造改革が急ピッチで進められている。スポーツ用品店「オッシュマンズ・ジャパン」の全株式譲渡に加え、昨秋には百貨店「そごう・西武」の売却を発表。イトーヨーカ堂はアパレル事業から撤退、今後3年で約30店舗を閉鎖する。
一方、井阪氏は〝物言う株主〟として知られる米投資ファンドバリューアクト・キャピタルから退任を求められている。同社はセブンに対し、コンビニ事業に経営資源を集中するよう求めており、井阪氏らの構造改革は不十分と見ているようだ。
ただ、井阪氏は「引き続き、株主・投資家の皆様との対話の機会をいただき、企業価値向上に向けた取り組みに反映させていきたい」と述べるに留めた。
物言う株主との関係をどう構築し、構造改革をどのように進めていくか。好業績でも井阪氏の悩みはしばらく続きそうだ。
【追悼】イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊さんを偲んで 鈴木敏文さん(セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問)
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