《いま話題のチャットGPT》イーロン・マスク氏らが開発に「待った」
財界オンライン / 2023年4月20日 7時0分
「新しい技術の開発にストップがかかるのは初めてではないか?」と語るのは某経済人。
人工知能(AI)を使った対話型ソフト「チャットGPT」を巡り、世界が揺れている。
3月末、米電気自動車テスラのイーロン・マスク氏がアドバイザーを務める非営利団体が、少なくとも半年は開発を停止するよう求めた書簡を公開。すでにマスク氏や米アップル共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏など、1千名を超える有識者らが賛同している。
チャットGPTは、米新興企業オープンAIが開発した対話型AI。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略。文章の意図を解釈し自然な言葉の文章を生成する技術で、大量の文章データを学習し、高度な文章処理を行うことができる。
2022年11月にサービスを開始して以降、わずか2カ月で利用者が1億人を突破したとして話題になった。すでに米マイクロソフトが出資し、企業などでも採用される場面が増加。
日本では、三井住友フィナンシャルグループがマイクロソフトと提携し、独自のAIアシスタントツールを活用して、文章の作成や要約、翻訳などにかかる時間を減らし、生産性向上につなげられるかの実証実験を始める予定だ。
ただ、チャットGPTを巡っては、すでにイタリアが使用を一時禁止しており、ドイツやフランス、米国も追随する動きが出ている。日本の文部科学省も学校教育において文章作成能力が身につかないという懸念を抱いており、偽情報やプライバシー侵害などへの懸念から使用を躊躇する声が出始めている。
AI研究の第一人者として知られる東京大学大学院教授の松尾豊氏は「インターネットが登場した当初はジワジワ浸透していったけど、チャットGPTは史上最速の早さで1億人以上が使ってしまった。予想外の早さで多くの人が理解してしまったが故に、マスク氏も早すぎるから半年くらい止まろうよと言い出したのではないか」と指摘。
その上で「改めて、ビジネスにおいて早さは強さだと感じる。技術的な課題はまだまだあるが、一時的なトレンドではなく、いろいろな形で世の中に広がっていくのは間違いない」と語る。
果たして、AIの進化が人間を超えるシンギュラリティは訪れるのか。そして、AIと人間の共存共栄は可能なのか。改めて、人類が進化する技術にどう向かうかが問われている。
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