電力大手の不祥事相次ぐ カルテルで課徴金1010億円
財界オンライン / 2023年4月21日 11時30分
電力大手のカルテル問題で、公正取引委員会は3月30日、独禁法違反で中国電力や中部電力、九州電力など4社に計約1010億円の課徴金納付を命じた。課徴金額は過去最高。
公取委によると、課徴金額はカルテルを結んだ範囲の広かった中国電力が約707億円と最も多く、中部電力と子会社の中部電力ミライズが計約275億円、九州電力が約27億円。
同じくカルテルと結んだとされる関西電力は2020年10月、課徴金減免制度に基づき、公取委に違反を自主申告し、処分を免れた。九州電力は公取委の立ち入り検査が入った21年7月以降に申告し、課徴金が減額された。
中部電力は4月7日、「疑義を招いたのは事実」として役員報酬の一部を自主返上する考えを公表したが、公取委の命令は不服として東京地裁に提訴する方針。中国電力や九州電力も対応を検討中だ。
とはいえ、カルテル問題に絡む電力会社に対する経済産業省の業務改善命令の発出は避けられない見通し。電力・ガス取引監視等委員会は3月30日、関西電力、中部電力ミライズ、中国電力、九州電力、九電みらいエナジーに対し、4月12日までに事案の概要や再発防止策などを報告するよう要請。報告を踏まえ、今後、命令発出を経産相に勧告する可能性がある。
電力業界からは「もともとは関電が悪いのに」との恨み節も聞こえるが、経産省幹部からは、「(中部電力などが)真っ白なら命令は打たないが、そうではないだろう」と話し、厳正に措置する構え。公取委は、電気事業連合会で構築した関係を利用して違反に関わったことがうかがわれると指摘しており、電力業界全体で抜本的な法令遵守体制の整備が急がれる。
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