《京セラ》長崎に新工場を建設 九州が半導体産業の集積地に
財界オンライン / 2023年4月21日 7時0分
「長崎県諫早市から世界中に向けた最先端の部品を供給していきたい」
京セラ社長の谷本秀夫氏はこう語る。
京セラが長崎県諫早市に新工場を建設する。半導体関連に幅広く使用されるファインセラミック部品や半導体パッケージの生産を行う予定で、2026年度の稼働を目指す。敷地面積は取得予定を合わせて約15万平方㍍。28年度までに合計約620億円を投資する計画だ。
現在、エレクトロニクス業界では、「5G(高速通信規格)」の普及に伴う基地局やデータセンターの増設、自動車の「ADAS(先進運転支援システム)」やEV(電気自動車)技術の高度化など、様々な分野で今後も高い部品需要の伸びが見込まれている。
京セラはこれまで鹿児島県霧島市の国分工場に新たな工場棟2棟を建設するなどして、半導体製造装置用ファインセラミック部品の需要増に対応してきたが、まだまだ半導体需要が伸びると判断した様子。
京セラは2023年3月期に初めて売上高が2兆円(前年同期比8.8%増)となる見通しで、29年3月期までに売上高3兆円を目指している。
谷本氏は地元・長崎市の出身。「出身だから決めたわけではない(笑)。既存の立地条件だけでは人を集めるのが難しい」として、交通の利便性や人材確保という観点から、諫早への進出を決めた。
諫早市にはソニーグループの半導体工場があり、熊本県菊陽町には、半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の工場進出が決定。周辺には関連企業の進出が相次いでおり、地元では九州への半導体産業集積による〝シリコンアイランド〟復活への期待も高まっている。
一方、足元ではTSMCの新工場建設に絡んで熊本での人材の奪い合いが激化しており、人手をいかに確保するかは進出企業にとって大きな課題となっている。
現在は、経済安全保障の観点からも半導体の重要性は高まっており、世界で投資競争が激しさを増す。今後は人手の確保策も含めて、企業の投資戦略に注目が集まりそうだ。
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