【マツダ】新社長に毛籠勝弘氏 米国での販売改革を陣頭指揮
財界オンライン / 2023年5月7日 11時30分
「どんな時代になっても『走る歓び』で移動体験の感動を量産するクルマ好きの会社にしたい」
マツダは取締役専務執行役員の毛籠勝弘氏(62)が社長に昇格する人事を発表。現社長の丸本明氏(65)は相談役に退く。5年ぶりの社長交代となるが、毛籠氏の登用について「トヨタ自動車への配慮も見え隠れする」と業界関係者は指摘する。
毛籠氏は営業出身。海外経験が豊富で、約20年ぶりに日本人として北米法人のCEOを務めるなど、主に米国でのブランド力を高める店舗改革を主導した人物として次期社長との呼び声は高かった。北米はマツダの販売台数(22年3月期の実績は約125万台)のうちの3割超を占める重要市場だ。
かつてマツダは大幅な値引き販売をすることで下取り価格も安くなり、一度マツダのクルマに乗ると、高く引き取ってもらえるマツダのクルマしか買い替えられないといった〝マツダ地獄〟と呼ばれる状況に陥った。
そんな安売りイメージがあった米国において、高級感のある内外装に切り替えて販売奨励金を減らし、過度な値引き競争に巻き込まれないようにマツダ車のイメージを変えた。もちろん、マツダ車そのものの魅力が向上したことが根底にある。
実はそのマツダ車のブランド価値向上に貢献してきたのが22年に退任した藤原清志氏(当時は副社長)だった。その藤原氏は開発畑出身。中規模メーカーのマツダが存在感を打ち出すきっかけとなった低燃費技術や高い走行性能を実現する「スカイアクティブ」技術の基礎開発を統括してきた人物だ。
ただ、「藤原氏はトヨタと距離を置いていた」(関係者)とも言われていた。一方の毛籠氏は「内外のコミュニケーション能力に長けている」(丸本氏)と評されるように、トヨタとの関係性は良好のようだ。
そのマツダにとっても電動化対応は大きな課題。30年までに1.5兆円を投じる計画だが、世界から見れば小規模なメーカーに位置付けられるため、電気自動車の電池確保をはじめ、米国で合弁工場を稼働させているトヨタとの連携は欠かせない。
ロータリーエンジンなどユニークな技術を持ちながらも「単独の力では解決できない」と語る毛籠氏のバランス感覚が求められることになる。
『住友商事』通勤用EVなどをリースする新会社を設立
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