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【私の雑記帳】”金融の波乱”にどう備えるか

財界オンライン / 2023年4月30日 11時30分

金融波乱を迎えて

『不確実性の時代』と言われる。

 クレディ・スイスの経営危機、米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻と救済など〝金融の波乱〟に、世界の経済人の間で緊張感が走る。この〝金融の波乱〟にどう備えるか─。

「銀行というのは大体、構造的に常に問題を引き起こすようにできている」との認識を示すのは、中前国際経済研究所代表取締役・中前忠さん。

 銀行のビジネスモデルは、〝短期で資金を借りて長期で貸す〟というキャリートレード。コロナ期は緊急措置という面もあって、各国が金融緩和を行い、経済を支えようとした。しかし、昨年、ウクライナ危機が起こり、石油・天然ガスの資源エネルギー、そして小麦など食糧価格が高騰。

「はい、インフレが起きて、今回のように急激に金利を上げなければいけないということになると、短期金利が急騰する。そうすると、銀行は貸出金利を動かせない中で、調達金利が急速に上がるという事態に直面、逆ザヤになってくることで1つ問題が起きます」と中前さん。

 銀行は逆ザヤになり、収益が急激に悪化する。これが今回、米SVBが直面した危機の本質だ。


金(かね)は、高金利へ流れる

 もう1つ問題になるのが〝リクイディティ・クライシス〟。つまり流動性危機といわれるもの。

「短期金利が急騰してくると、預金金利が低く見えるようになってくるんですね。そうすると、預金金利より利回りのいいマネー・マーケット・ファンド(MMF)などに一斉に預金がシフトしていく。それで銀行が資金繰りに困ってくる」

 銀行の利益が落ちるのと、流動性の危機の2つが同時に起きたというのが、今回の問題の基本と中前さんは指摘(インタビュー欄参照)。

 金融政策の元締め、中央銀行のカジ取りも実に難しい。

 急騰し始めた短期金利を抑えたいところだが、一方でインフレ抑制はどうするのかという矛盾を抱え込む。何より、銀行から資金が流出する動きをどう食い止めるかという課題に、日・米・欧の中央銀行は共に直面している。

 コロナバブルが弾け、「わたしは不況局面に入っていると思います」という認識を中前さんは示し、次のようにも続ける。

「(不況に)入っていないとしても、不況に入る可能性が高くなってきた。わたしはむしろ不況が加速するという見方です。タイミングの見方の違いはありますが」

『不確実性の時代』をどう生き抜くか、経営者に覚悟が求められる時代である。

「跳躍の年」に漂う緊張感、「VUCAの年」となるか【私の雑記帳】

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