ユニゾHDが民事再生法適用 地方銀行への被害拡大に懸念
財界オンライン / 2023年5月10日 11時30分
今年最大の倒産案件に
日本の上場企業で初めて、EBO(従業員による買収)で非上場となったユニゾホールディングスが民事再生法の適用を申請した。負債総額は1262億円で、帝国データバンクによると今年最大の倒産となった。
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今後は日本産業推進機構(NSSK)をスポンサーとして再生を図るが、今回民事再生を申し立てたのは持ち株会社だけ。グループのユニゾ不動産、ユニゾホテルはNSSKの支援の下、営業を継続する予定。
ユニゾHDは元々、旧日本興業銀行(現みずほ銀行)系の不動産会社だった。だが2013年以降、5年で4度の公募増資を実施し、急激な希薄化で株価が下落。旧興銀系を中心とする企業株主との関係も薄れた。
19年以降、旅行大手・エイチ・アイ・エスの敵対的TOB(株式公開買い付け)に始まり、米ファンドのフォートレスなど複数社が買収候補として名乗りを挙げたが条件面で折り合わず。最後はユニゾHDの従業員と、米ファンド・ローンスターが共同で設立した会社「チトセア投資」にローンスターが資金を貸し付け、EBOを実施した。
だが、この貸付金、約2000億円の返済が重荷に。この間、東京駅八重洲口の目の前にあった旗艦ビルを始め、多くの物件を売却。自力で利益を稼ぎ出す力が細ったことに加えて、コロナ禍が追い打ちをかけた。
21年以降は社債の償還期限が近づく度に実行が危ぶまれていた。今回はついに「昨年までとは様子が違う」という声が市場関係者の間で囁かれ、実際に5月26日に予定されていた100億円の社債償還資金を手当てできなかった。
負債の多くは主に地方銀行が出していたもの。当初は「危機が伝えられてから時間があり、(地銀に)準備期間があったはず」(市場関係者)と見られていたが、北國銀行や高知銀行などが債権の取り立て不能・遅延の恐れが生じたと発表。中でも北國銀は引当や担保で保全されていない貸出金があり、決算を延期する事態に。ユニゾHDの倒産は、不透明な金融動向で苦境にある地銀に、さらなる打撃を与える恐れがある。
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