【金融庁】TOBの対象拡大へ 「覆面買収」防止も課題多く
財界オンライン / 2023年5月17日 11時30分
金融庁は株式を大量取得する際にTOB(株式公開買い付け)を義務付ける取引の対象を広げる方針。現行は市場外で大量所得する場合などに限られているが、金融商品取引法を改正し、市場内で株式を買い進める場合にも義務付ける方向だ。
買い手の意図が不明なまま企業の株式が大量に取得される「覆面買収」を防ぎ、取引の透明性や公平性を高める狙いがあるという。少数株主保護の観点から、発行済み株式の30%を超える大量買い付けについての残りの株式全てを取得する義務を課すことも検討する。
金融庁がルール強化に乗り出した背景には、企業の株式を段階的に買い進めて株主還元の強化や経営改革などを厳しく迫るアクティビストファンド(モノ言う株主)の行き過ぎた行動を抑えたい思惑も透けて見える。
近年はアクティビストファンドなどがTOBルールの及ばない市場内取引で徐々に株式を買い進め、突然、大株主に浮上し、敵対的な買収を仕掛けるようなケースも出ている。
複数のファンドなどが密かに協調して市場で株式を買い集め、時期を見て一斉に対象企業に攻勢を掛け、取締役の選・解任や大規模な株主還元、経営権所得などを目指す「ウルフパック(狼の群れ)戦術」も散見されており、企業は警戒心を高めている。
金融庁は今回、TOBルールに加え、株式の大量保有報告制度の見直しも検討する構えで、ウルフパック対策につながるか注目されている。
ただ、アクティビストの活動が企業価値向上に寄与するケースもあるだけに、ルール見直しが経営陣の保身につながるようだと海外投資家らの日本市場離れを加速させる恐れもあり、ルール見直しを検討する金融審議会(首相の諮問機関)での論議が難航する可能性もある。
TOB適用拡大などによる買収の透明性・公平性の向上と、アクティビストなどが非効率な経営に改善を迫る効用などを比較衡量してバランスの取れた新たなルールをつくれるか。金融庁の力量が試されそうだ。
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