【農林水産省】G7農相会合を開催 食料安全保障の強化で一致
財界オンライン / 2023年5月18日 15時0分
先進7カ国(G7)農相会合が宮崎市で開催され、気候変動やロシアのウクライナ侵攻で脅かされている食料安全保障を強化するため、持続可能な形で農業の生産性向上を支援する政策を促進するとの声明を採択し、閉会した。
議長を務めた野村哲郎・農林水産相は閉会後の共同記者会見で、「食料安保に一石を投じるもので、大変意義深い」との見解を示した。
会合は4月22~23日に開催された。持続可能な農業システムの達成に向け、国内農業資源の活用や温室効果ガスの排出削減、民間投資の促進など、各国が取り組む政策の方向性を示した行動計画「宮崎アクション」も採択した。
生産性向上を巡っては、世界貿易機関(WTO)のルールで、輸入物品より国産物品を優先して使用することに基づき交付される補助金を禁止しているため、生産拡大を招く補助金は推奨されず削減対象にある。貿易の議論の中では、補助金で国内生産を促進させることが輸出国の国内産業や利益の阻害を招くとされ、農業生産を拡大するものは抑制しないといけなかった。
ただ、世界人口は昨年80億人に到達。国連の推計では、30年に85億人、50年には97億人に増加するとの見通し。また、気候変動による異常気象で、年によっては穀物などで凶作となるなど、世界的な食料の安定供給に影響が出始めている。これに、コロナ禍やロシアのウクライナ侵略が追い打ちをかけたことで、世界的に食料安保強化が喫緊の課題となった。
政府は食料の安定供給を図るため、国内生産と輸入、備蓄を組み合わせることで様々なリスクに対応することを重視。生産性向上を支援することで、限られた土地で効率良く生産し、国内生産量の拡大につなげたい考えだ。
農水省は「国際的な議論の中で、生産拡大を正面から取り上げたものはなく、時代のテーマに沿ったメッセージだ」(幹部)と指摘した。
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