三菱商事、三井物産が総合商社で初の純利益1兆円
財界オンライン / 2023年5月23日 7時0分
今期は各社とも減益の見通し
「前年度の最高益を大きく上回り、当社初の1兆円台に到達できた。好業績に浮かれることなく、企業価値の向上につとめてまいりたい」と語るのは、三菱商事社長の中西勝也氏。勝って兜の緒を締める─総合商社の決算となった。
2023年3月期の総合商社の決算が出揃い、三菱商事と三井物産は初めて最終利益が1兆円を超える好決算となった。ロシアによるウクライナ侵攻などを受けて、天然ガスや原油などの資源価格高騰や円安の恩恵を受けた他、自動車などの非資源ビジネスも好調だった。
三菱商事の純利益は1兆1807億円(前年同期比25.9%増)、三井物産は1兆1306億円(同23.6%増)。資源ビジネスの比率が低い伊藤忠商事は8005億円(同2.4%減)で減益となったが、社長の石井敬太氏は「2年連続で8千億円に到達でき、最高益となった昨年に次ぐ好決算になった」と話す。
ただ、24年3月期の業績は、三菱商事が9200億円(同2.1%減)、三井物産が8800億円(同22.2%減)、伊藤忠が7800億円(同2.6%減)の見通し。資源価格の軟化や欧米各国の利上げなどもあって、各社とも減益の見通しだ。
今後、三菱商事はDX(デジタルトランスフォーメーション)とEX(エネルギートランスフォーメーション)、三井物産はモビリティやヘルスケア、伊藤忠はデジタルデータ活用による生活プラットフォームに密着した領域を開拓する考え。
三井物産社長の堀健一氏は「当社の強みをグローバル・産業横断的に融合することで、複雑化する社会課題に対して、その時点で考え得るベストな現実解を提供していく」と語る。
世界中で様々なビジネスを展開する総合商社は、世界的な景気変動などの影響を受けやすい。それだけに、先行き不透明な今のうちにどんな事業を仕込んでおくかで、今後の各社の成長性に差が生まれそうだ。
脱炭素化のカギを握るのは家庭、三井物産の「脱炭素ソリューション戦略」
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