クレサヴァ・園部皓志代表取締役「不要になった衣類から野菜をつくる!」
財界オンライン / 2023年6月1日 15時0分
不要になった衣類から作った肥料で野菜を育む─。世界では年間に約51万トンもの衣類が廃棄されています。ファッション業界は石油産業に次ぐ世界第2位の環境汚染産業です。もはや大量生産・大量消費・大量廃棄のビジネスからの転換が待ったなしの状況と言えるでしょう。
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私にはファッションデザイナーになるという目標があったのですが、一方で10年後もその立場を続けているとも思えませんでした。この問題意識を持ちながら、英ロンドン芸術大学ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業した後、E.V.I、ファーストリテイリングを経て17年に起業しました。
もともとこの大量廃棄問題への解決策を生み出すことが自分自身のミッションと捉えていたため、どこよりも早く動くことができました。そこで生分解性に優れた和紙の繊維を使い、「衣」から「食」への循環システムを作ろうと考えていたのです。
当社は独自開発の和紙100%繊維を使い、自社ブランド「aloof home」で衣から食の還元が可能な服を作って販売しています。和紙は生分解性に非常に優れており、土の中にいる微生物が好んで分解する特性を持っています。同じ天然素材であるコットン100%の服を土の中に埋めた場合には、Tシャツとロングパンツが分解されるまで半年くらいかかりますが、和紙だと1.5~3カ月程度で分解が可能になります。
さらにこの技術開発と同時に動いていたのが不要になった衣類を「土に還す」研究です。大学教授や農家の方々と議論を重ね、辿り着いたのが、回収した衣類から円柱型のペレット(肥料)を生成する当社独自のテクノロジーです。
当社はこのテクノロジーの特許を取得しており、専門機関による検査結果では、このペレットには肥料に必要な成分が含まれていることが示されています。この技術を使えば、天然繊維のみならず、化学繊維においても不要となった衣類や生地を回収可能となり、ファスナー・ボタンなどの付属品も手作業で分別することなく破砕可能です。
そして破砕した素材を粉砕機でさらに細かくし、糸状の繊維に粉砕。このプロセスで発酵が促進されます。そして粉砕した繊維を有機物と混ぜて自然発酵させて微生物による分解が進み、健康な土壌を育む肥料となるのです。発酵に使用する有機物も廃棄されるはずだった天然由来のものを有効活用しています。
この技術を使って衣類から生まれた肥料を京都府南丹市美山にある自社農園の土壌で活用。栽培した新鮮な季節の野菜を直送するなど、ファッションにおいて食を育む循環型テクノロジーを提案するに至りました。
そして今般、東急プラザ銀座7階で「学び・体験・実践」をコンセプトとする5つのブースなどを展開。京都で育った野菜やスイーツを揃えたマルシェや京都の地産地消食材を使ったメニューを提供するレストランバーを併設したサステナブルミュージアムを期間限定でオープンしました。
大企業も他のアパレルも実現させていないこの技術を当社が産み出すことができたのは、ファーストリテイリング時代、身をもって感じた「自らの夢を実現するための飽くなき行動」です。経営トップとして求められる強い意志を学びました。
衣から食への循環モデルは、すべての繊維産業から廃棄物を削減し、農業の活性化を促します。この輪をもっと広げていくため、進化を続け、事業拡大を目指します。
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