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【財務省】少子化対策の財源議論 扶養控除見直しに反発の声も

財界オンライン / 2023年6月7日 15時0分

政府の少子化対策の財源を巡る議論が本格化し、賛否が渦巻いている。対策の柱となる児童手当の拡充に向け、高校生に月1万円を支給し、3歳から小学生の第三子にも現在の1万5千円を倍増して3万円を支給する案が浮上しているが、拡充に伴う財源確保策として、現行制度で16~18歳に適用されている扶養控除を見直す方向となっているためだ。児童手当が増えても扶養控除が縮小されれば、受け取れる金額は事実上目減りする可能性があり、「次元の異なる少子化とは程遠い」(閣僚経験者)など反発が出ている。

 鈴木俊一財務相は5月23日の閣議後記者会見で、児童手当の拡充に関して、「児童手当の充実を検討する場合は扶養控除との関係を整理する必要がある」と明言。一方、扶養控除の見直しについて鈴木氏は「歳出と税制の在り方を総合的に考える中で必要だが、少子化対策の財源確保を目的に検討すべきことではない」とも述べ、政府内で調整を続ける考えを示した。

 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)後、複数の報道機関の世論調査で岸田文雄内閣の支持率は上昇。ただ、6月21日の今国会会期末に向けて、野党は少子化対策の財源確保策で政府・与党を厳しく追及する構えで、今後は少子化対策の財源論が政権運営を左右するのは必至だ。

 財務省は「増税できない以上財源をかき集めるしかない。少子化対策に本気で取り組むなら負担増を理解してもらうしかない」(主計局)のが本音。

 ただ、連立を組む自民と公明党が次期衆院選の東京選挙区の候補者調整を巡り亀裂が入り、今後の少子化対策の議論に影響が及ぶ可能性が出てきた。

 財務省は「少子化対策は公明の一丁目一番地だ。財源問題が自公対立の〝人質〟になりかねない」(同)と警戒する。6月に閣議決定する経済財政運営の指針「骨太方針」に向けて曲折がありそうだ。

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