《今後の政界再編のキーマン》日本維新の会・馬場 伸幸代表を直撃!
財界オンライン / 2023年6月13日 7時0分
国家・国民のために働ける国会へ
―― 4月に行われた統一地方選挙で、日本維新の会は地方議員600人以上の当選という目標を達成しました。まずはこの統一地方選の手応えを聞かせてくれませんか。
馬場 日本維新の会では2年前に中期経営計画を策定しました。政党であまり「経営」という言葉を使うところはないと思うんですが、民間感覚で政党を運営していこうということで、10年間で最終的に政権政党になるという目標を掲げました。
ホップ・ステップ・ジャンプの三段階でレベルアップしていこうと考えて、最初のホップは、去年の参議院選挙で改選議席数6議席を倍増し、比例で野党第1党の得票をいただくと。これは両方クリアできました。
そして、第二段階は、この統一地方選挙で600人以上の議席をお預かりする。やはり、われわれはまだまだベンチャー政党で、地方に根を張っていない。そこをカバーしていくには、地方議員さんが必要だということで、600という数字を掲げました。それが今回おかげさまでクリアできたので、次は第三ステップです。
―― いよいよ政権獲得のレベルまで持っていくと。
馬場 いや、その前にまずは、次の衆議院選挙で野党第1党の議席をお預かりすることが目標です。今の立憲民主党のように単なる政権批判だけではいけない。政府が出してくる予算や法案、政策に対して、きちんと対案を出す。対案で議論を積み重ねていくことによって、政策論争を深いものにしていくことが大事です。
だから、われわれはそういう思考を持っている立憲を引きずり下ろして野党第1党になる。生産性のある議論を重ねて、本当の意味で国家・国民のために働ける国会に変えていきたい。その積み重ねによって地力をつけ、次の国政選挙の時には国民の皆さんから、「今度は政権を頼むで」と言われるような存在になりたい。今はそういうロードマップを描いています。
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―― 大阪の政党から関西の政党、そして、本格的に全国政党になっていくためには、何が必要だと考えますか。
馬場 やはり、われわれは大阪で生まれた政党で、大阪から日本を変えるという意気込みでやってきました。その一つが大阪都構想で、二重行政の解消に向けて統治機構を変えなければいけないと。ひと頃は道州制だとか、地方分権という言葉がありましたけど、今の国会でそんな議論は全くありません。
われわれは大阪都構想をまだ諦めたわけではありません。すでに2回住民投票をやらせていただきましたが、やはり、全国を見渡せば二重行政になって、無駄な投資や無駄なコストが発生しているところばかりです。今こそ統治機構を変えて、行政システムを合理化していくべきだと考えています。
ですから、まずは大阪でいい事例をつくることができれば、そこから日本の統治機構は変わると考えています。
教育無償化の目的とは?
―― 都構想を含め、日本維新の会の政治活動の基本軸は行財政改革ということですか。
馬場 ええ。やはり、われわれがずっと申し上げてきた身を切る改革です。皆さんの中には住民の身を切るのかと誤解されている方もいるんですが、そうではない。身を切る改革というのは、税金で暮らしをさせていただいているわれわれ政治家が身を切る。つまり、報酬をカットし、定数を減らす。それをまずやりましょうと。「隗より始めよ」ということです。
政治家が率先して身を切ることによって、国民の皆さんに本気なんだと思っていただける。そうやって、どんどん改革をしていくことで生み出された財源を将来の投資に回しましょうというのが、われわれの考え方です。では、将来の投資って何ですかと言われたら、教育の無償化なんですよ。
東京ではあまり報道されていませんが、吉村洋文大阪府知事が、大阪府内の高校と公立大の授業料の完全無償化をやろうとしています。2024年度からの段階的な実施を目指していて、府民であれば幼稚園、保育園から大学、大学院までの授業料を無償化し、年収や子供の数などで設けている制限も撤廃しようとしています。
―― そうした教育無償化を実現するには相当の財源が必要になると思うんですが。
馬場 試算では427億円かかります。でも、われわれは府民にご負担を掛けたり、1円たりとも増税したりしません。自分たちの身を削る改革を行っていけば、今ある財布の中から何とかやりくりして財源を生み出していけると考えています。
教育無償化の目的は二つあるんです。非正規で働く人が増えたことで、今はわれわれが想像している以上に経済的な理由で高校や大学に進学できない子供たちが爆発的に増えている。ですから、やる気があっても学問を修められない子供たちをゼロにしていこうというのが一つ。
もう一つは、人の人生を考えたら、生まれてから死ぬまでに一番お金のかかる時期はやはり、結婚して子供が生まれ、その子供が成長して進学していく時ですよね。だから、若い子育て世代の皆さん方を経済的にサポートしようと考えているのです。
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―― 人を中心とした政策ですね。まずは子育て支援からやっていくと。
馬場 ええ。教育費がなくなれば、若い世代の皆さん方の可処分所得が増えるわけです。
日本はGDP(国内総生産)の6割が個人消費で支えられていますから、その若い世代の皆さんが増えた可処分所得で買い物に行ったり、旅行へ行ったり、外食に行ってくれると。そうなれば個人消費が伸びます。個人消費が伸びて、経済が好転すれば税収が増える。税収が増えたら、また今度は新しい行政サービスにチャレンジできる。こうした好循環を生み出していきたいと考えています。
続きは本誌で
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