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加速し始めた【トヨタ】のEV戦略 18年ぶりの株主提案は否決

財界オンライン / 2023年6月21日 15時30分

トヨタ自動車が開発中の全固体電池

全固体電池の実用化を表明

 トヨタ自動車のEV(電気自動車)戦略が加速し出した─。トヨタが6月14日に開催した定時株主総会では会長の豊田章男氏ら10人の取締役の選任など4議案を諮り、会社提案の3議案はいずれも可決。気候変動や脱炭素に関する株主提案は否決された。

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 18年ぶりとなった株主提案はオランダのAPGアセットマネジメントなど3社の機関投資家が定款を変更してトヨタの渉外活動が温暖化ガスの排出削減にどう寄与しているかなどを報告書にまとめて作成することを追加するように求めていた。

 それに対してトヨタは「個別の業務執行に関しては取締役会で経営判断を進めるのが適切と考えた」と反対意見を表明。結果、約99万人の実質的な株主の賛同を得た。ただ布石は打たれていた。それが「株主総会を見据えたか」(関係者)のように2日前に開かれた技術説明会だ。

 そこではEVの航続距離を伸ばせる次世代電池の全固体電池を2027年から28年にかけて実用化する方針を明らかにした。当初はハイブリッド車への搭載を予定していたが、「実用化されればゲームチェンジャーになる」と言われる全固体電池をEVに搭載することを言及したことは関係者を驚かせた。

 加えて、米テスラが導入している数十点の板金部品で造る部品を一体物として成形できる「ギガキャスト」の導入を検討していることも示したことで、かねてより副社長の中嶋裕樹氏が「工場の景色が変わる」と語っていたことが真実味を帯びた。

 株式市場も後押しした。翌日にはトヨタのPBRは1.03倍に達した。1倍割れが続く三菱UFJフィナンシャル・グループなどのメガバンクを横目に22年11月1日以来の1倍台への回復を果たした形だ。

 社長の佐藤恒治氏は「継承と信頼が大切。全身全霊でトヨタを進化させていく」と語る。その進化の中身の1つが電動化。30年には350万台のEV販売を目指す方針を強調する。

 足元のEV販売台数は2万台規模。その数を遙かに上回る台数を生産し、消費者を惹きつける「もっといいクルマづくり」ができるかが勝負所となる。

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