NTTがAIやロボットなど成長分野へ8兆円の巨額投資
財界オンライン / 2023年6月26日 15時0分
「新たに投資をしたものがキャッシュを生むという好循環になるようにしたい」
NTT社長の島田明氏は2028年3月期を最終年度とする5カ年の新中期経営計画について、こう意気込みを語る。新中計ではAI(人工知能)やロボットといった成長分野への8兆円の投資が目玉。5カ年の投資総額は12兆円で、その過半を〝攻め〟の投資に充てる格好だ。
成長分野の中核はNTTが掲げる次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」。IOWNでは半導体チップの信号処理を電気ではなく、光で行う「光電融合」技術により30年度以降に通信の電力効率を従来比100倍にする目標を示してきた。これに向けて23年6月に新会社「NTTイノベーティブデバイス」を設立。23年度はIOWNの研究開発全体で1000億円を投じるなど、意欲的な計画を示す。
IOWNは日本の情報通信業界が世界で復権するための武器にもなり得る。日本勢は5G(第5世代通信)の基地局シェアで中国・北欧勢に劣るなど、国際競争で出遅れた。IOWNの普及により、6G時代の世界標準を狙う。これに向けた国際団体「IOWNグローバルフォーラム」への参加数は4月時点で118社・組織に上っており、足場固めが着実に進んでいる。
他方、AIでNTTがどれだけ存在感を示せるかも問われる。米オープンAIが「チャットGPT」を公開したことを機に、文章や画像を自動的につくる生成AIが脚光を浴びている。米マイクロソフトが同社に出資する一方、米グーグルは対抗馬として「バード」を発表するなど覇権争いは激化する一方だ。
NTTは独自開発の生成AIを23年度中にも提供する。「使いやすいものにしたい」(島田氏)とし、金融や医療などの業界のニーズにきめ細かく対応する方針だ。競合他社との差別化につなげられるか注目される。
《いま話題のチャットGPT》イーロン・マスク氏らが開発に「待った」
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