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【財務省】「骨太方針」原案にPB黒字化時期明記せず

財界オンライン / 2023年6月26日 11時30分

 政府が6月7日公表した経済財政運営の指針「骨太方針」の原案には、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標は堅持したものの、具体的な年限の明記は見送られた。

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月から5類に引き下げられたことを踏まえ、原案は歳出について「平時に戻す」と強調した一方、少子化対策や防衛力強化策が並び、歳出圧力は今後も強まる方向。日本医師会など医療団体は物価高騰と人出不足を踏まえて診療報酬の増額改定を求めており、歳出改革による財源ねん出の道筋が描けているとは言い難い。

 鈴木俊一財務相は6日の閣議後会見で、2025年度の国と地方合わせたPB黒字化目標の達成に関し、「財政健全化に向けた取り組みを進める方針に変わりはない」と明言した上で、「成長と分配の好循環を実現して日本経済を新たな成長軌道に乗せていく」と述べた。

 ただ、原案は「今までの政策を並べただけ。成長のカギをどれにするのか官邸に戦略がない」(経済官庁幹部)と冷ややかな見方が多い。歳出改革でも、新型コロナ対策に伴う地方創生臨時交付金の「内容の見える化の徹底」を盛り込んだ程度で「これが精いっぱい」(財務省幹部)状況だ。

 財務省と公然と対立しながらも消費税増税を任期中に2度断行した安倍晋三元首相と比べても、岸田文雄首相は財政健全化が後回しになっている印象が拭えない。財務省OBからも「うちの力は随分落ちたね」などと揶揄される始末だ。

 中央省庁の今夏の人事では、財務次官が交代するかが最大の焦点。年末の24年度予算編成は、防衛と少子化の財源確保に向けて手腕が問われるためだ。また、今年の夏から秋に想定される内閣改造で鈴木氏が続投するかも注目が集まる。

【財務省】少子化対策の財源議論 扶養控除見直しに反発の声も

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