【外務省】次期次官候補に2人の外務審議官が浮上
財界オンライン / 2023年6月27日 15時0分
広島市で成功裏に幕を閉じた5月のG7広島サミット。1年がかりで準備に追われた外務省には安堵の空気が流れているが、その裏で省内の話題となっているのが、今夏に発令されるとみられる次の外務次官人事だ─。
現在の森健良次官の後任として浮上しているのが、山田重夫、小野啓一の両外務審議官の2人。このうち、政務担当の山田氏は、3月に岸田文雄首相がウクライナの首都キーウを極秘訪問する計画を練ったことで知られる。サミットでは、ゼレンスキー大統領が電撃訪日するにあたり、首相の意向を受けてG7各国などへの根回しも進めた。
ある外務省幹部は「山田氏は首相の信頼が厚く、自民の茂木敏充幹事長とも太いパイプがある。難題を着実に片づける手腕は省内随一だ」と指摘し、「山田次官」を本命視する。
一方、小野氏は経済担当の外審で本来次官レースから遠い位置にあるが、注目されるのは、北朝鮮と極秘交渉を重ねた過去だ。小野氏は2010年に北東アジア課長に就いた後、膠着していた日本人拉致問題をめぐり、北朝鮮の秘密警察・国家安全保衛部(今の国家保衛省)関係者と水面下で接触を続けた。2014年には「拉致問題は解決済み」との立場を改めさせ、日本人行方不明者の再調査を約束するストックホルム合意にこぎつけた。
首相は5月、拉致問題の解決に向け、首相直属のハイレベル協議を行う考えを初めて表明。首相側近は「政権の次の重要課題として拉致問題に集中的に取り組むため、小野氏に期待する声もある」と語る。首相と小野氏は開成高校の同窓という縁もあり「次官への異例の抜擢という選択肢もある」と指摘する。
次官人事の内示は6月下旬から7月上旬になるとみられる。次官人事の行方をみれば、首相が外交で次の一手をどう考えているのかも見えてきそうだ。
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