【厚生労働省】介護報酬改定の議論に着手 処遇改善や業務効率化が課題
財界オンライン / 2023年6月29日 11時30分
社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の介護給付費分科会は、24年度介護報酬改定の議論に着手した。
同年度は、診療報酬と障害福祉サービス等報酬が重なる6年に1度の「トリプル改定」となる。介護職員の処遇改善や業務効率化などが課題となる見通しで、物価高騰の影響も踏まえた内容になりそうだ。分科会は今秋にかけて議論を本格化させ、年内に考え方をまとめる。
介護需要は、「団塊ジュニア世代」が全員65歳以上を迎える40年度頃のピークを見込む。同年度には21年度より約65万人多い約280万人の介護職員が必要になると推計され、人材確保や業務効率化が大きな課題だ。
加藤勝信厚労相は5月26日の経済財政諮問会議で「特に医療・介護分野では、足元の物価上昇の中で経営状況の悪化が生じ、賃上げも他分野に比べて進まない状況の中、人材確保の観点からも報酬の大幅な増額が必要とされている」と述べている。
一方で、介護保険のサービス利用者は21年度には516万人と制度開始時の3.5倍に増加。予算総額も年々拡大し、21年度は11兆291億円で過去最多を更新した。介護保険財源の4分の1弱を占める65歳以上の第1号保険料も上昇を続け、全国平均で月6014円と00年度の同2911円から2倍以上になっている。
公費負担が増えている現状を踏まえ、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は報酬の引き上げを慎重に議論すべきとしており、分科会ではこうした指摘も踏まえ議論する。
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