注目のコスモHD株主総会 買収防衛策が異例の承認
財界オンライン / 2023年7月6日 7時0分
旧村上系含めれば実質否決
石油元売り大手・コスモエネルギーホールディングスの定時株主総会で、経営方針を巡り対立する大株主、旧村上ファンド系投資会社などに対する買収防衛策の発動が承認された。
採決には「マジョリティー・オブ・マイノリティー(MOM)」と呼ばれる手法が用いられ、旧村上系陣営を除外する異例の手法が採られた。2021年に輪転機メーカー・東京機械製作所が使った例があるが、議決から除外された投資会社は司法手続きに訴えたものの、裁判所は防衛策の差し止めを認めなかった。経済産業省がまとめた指針案では「乱用されてはならず、非常に例外的かつ限定的な場合に限られる」と指摘されていた。
ただ、後日判明した採決結果によると、利害関係のない株主の議決権だけで賛成が35万4006個、反対は24万604個。仮に普通決議で17万6805個の議決権を持つ旧村上系が反対票を投じていたら、否決された計算。旧村上系はコメントを発表し「実質的には否決だったと評価すべき」と反発した。
防衛策は、旧村上系が情報提供などなく買い増しした場合、コスモの取締役会決議により他の株主に新株予約権を無償で割り当て、保有比率を引き下げる内容。米議決権行使助言会社2社が「会社は企業価値向上の道筋を示せずにいる」などとして「反対」を推奨していた。海外機関投資家の多くは反対に回ったとみられる。
総会ではこの他、旧村上系が株主提案した社外取締役選任案が普通決議で否決され、賛成率は25.93%。退任を求めた社長の山田茂氏は再任された。
旧村上系は、コスモ株の20%超を保有し、風力発電子会社の株式上場や自社株買いによる株主への利益還元を要求している。これに対し、コスモは子会社を上場せずにグループ内で成長させる方針。山田氏は総会で「中長期的な企業価値や一般株主の利益を犠牲にし、短期的な利益の追求や高値での株式売却を目的としている」と非難した。
〝物言う株主〟に翻弄される構図は東芝と同じだが、ステークホルダーは株主だけではない。山田氏には今後、社員や取引先など、多くの関係者を納得させる経営が求められる。
【経済産業省】コスモHDが再エネ事業巡り、旧村上系ファンドと対立
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