【追悼】ウシオ電機創業者・牛尾治朗さん
財界オンライン / 2023年7月7日 18時0分
起業人が活躍できる社会を
グローバルな視点で、日本のあるべき姿と企業の生き方を追求し続けた人─。ウシオ電機創業者で、名誉相談役の牛尾治朗さんが亡くなった。92歳だった。
33歳でウシオ電機を設立し、光源ランプなどの電機領域でユニークなポジションを獲得。1960年代から70年代、そして、80年代と続く高度成長期を常に世界に通用する企業像を追い求め、自ら実践してきた。
日本青年会議所会頭時代には、財界人が集う軽井沢セミナーで「新しい発想を持つ若い起業人が活躍できる日本社会にしなくてはならない」と訴えた。経団連や商工会議所の存在感が今以上に高く、いわゆる重厚長大産業の全盛期に変革を促す言動をして、財界の〝内ゲバ〟と言われたものだ。
バブル経済崩壊後の1995年(平成7年)4月から4年間、経済同友会の代表幹事をつとめた。この時、牛尾さんは『市場主義宣言』を行い、日本経済の体質変革を訴え続けた。
牛尾さんの真骨頂は変革を訴えながらも、旧来の産業人との繋がりをも大事にしたという所にある。
官から民への流れを
1981年(昭和56年)、戦後30数年が経ち、このままでは日本は衰退するという機運が高まり、いわゆる行財政改革が持ち上がった。行革の司令塔となる〝臨調(第二次臨時行政調査会)〟の会長は土光敏夫さん。
〝メザシの土光さん〟と言われ、自らは倹約生活を実践し、石川島播磨重工業、東京芝浦電気(現東芝)を再建してきた土光さんが国民の期待を担って登場。その土光さんに、牛尾さんも評価されてきた。
あるいは、松下電器産業(現パナソニックホールディングス)を興し、〝経営の神様〟と言われた松下幸之助さんが晩年、「これからの日本を担うのは『人』」という観点から、人材育成の『松下政経塾』をつくった時も、塾の運営に請われて参加。
また、五島昇さん(東急元会長、日本商工会議所元会頭)や石川六郎さん(鹿島元会長、日本商工会議所元会頭)とも親交を深める中で、日本振興の話をしていった。
人と人をつなぎ、また、日本ベンチャーキャピタルをつくるなど、若手起業家の育成にも尽力。
「20世紀は行政が日本を引っ張った。21世紀は民間が日本を引っ張る時代」と一貫して、官から民への流れをつくろうとした。
リーダーは構想力で
こういう混迷の時こそ、「リーダーには叡智を結集した政策が問われている」として、牛尾さんは「答えが一概に出ない時代だからこそ、リーダーの構想力が問われている」と企業人を叱咤激励。
日本再生に求められるのは経済人の構想力。「牛尾さんの時代は産業人が政治、そして行政を動かしてきた。今、その力が弱い」(某官僚経験者)との声も聞かれる。
経済人の気概を見せ続けた牛尾さんの人生であった。
合掌
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