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【株価はどう動く?】日本で始まった「大衆主導相場」、投資未経験の個人が市場に参入

財界オンライン / 2023年7月11日 18時0分

投資未経験の個人も市場に参入してきた

アベノミクス相場以来 相場を牽引する外国人投資家

 2023年の6月から年後半12月は、21年に天井を付けてから長らく続いた下は2万5000円、上は3万円というボックス相場から、下は3万円、上は3万5000円というゾーンに入っていきます。

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 6月19日には3万3772円という高値を付けました。まだ23年も中盤ですが、すでに3万5000円の壁が近づいてきているのです。なぜ、日本の株価は強いのか。

 本連載で何度か指摘していますが、今回の株高の出発点は20年3月19日のコロナショックの安値、1万6358円です。その後、約1年上げて、21年2月16日に3万714円で一番天井、9月14日に3万795円で二番天井を付けて、その後23年3月まで長期の下落調整局面に入りました。その間、ほぼ2万5000円から3万円のボックスの中で推移したのです。

 それが直近、4月相場入りから株価は上がり始めました。この要因は、前回指摘した「賃金インフレ」と、円安による脱デフレです。円安はインバウンド(訪日外国人観光客)の増加にもつながっています。さらには足元では支持率が下落しているものの、5月のG7広島サミット後に岸田政権の支持率が上昇したことも、株式相場には好影響でした。

 さらに、23年3月期決算で多くの企業が好決算を出し、それが5月中旬くらいまでに出揃っていましたから、これも株高の要因となりました。

 この間、誰が最も日本株を買ったかというと、外国人投資家です。11週連続で買い越すような状況で、これは13年のアベノミクス相場の初期にあった買い越しの記録のうちの1つを上回っている状況です。これによって、3万円の壁を突破し、3万5000円の壁に迫るような勢いになっているのです。

 今後の動きはどうか。下は3万円、上は3万5000円という相場の中で、3万円台を固める動きが当分続くと見ています。

 そして3万5000円の壁を奪回、あるいは突破する可能性が出てきています。外国人投資家の買いに加えて今、国内の個人がそこに加わる動きになりつつあります。日本の個人金融資産約2000兆円のうち、半分以上を占める現預金約1100兆円が、株式市場に流入し始めているものと思われます。

 コロナショックから21年の高値を付けるまでが上昇第1波で、これは「理想買い」でした。当時、コロナ不況で先行きはいい見通しではありませんでしたが、将来の好転を買っていたのです。この相場は21年9月の二番天井を付けて終わりました。

 今回は「理想買い」の後に必ずやってくる、上昇第2波です。これは「現実買い」、あるいは「業績相場」です。理想ではなく現実に、日本企業の業績、日本経済がよくなることを買う相場が今、始まっています。

 この業績相場を牽引するのが、前述した日本の個人投資家だと見ています。これによって3万5000円の壁を突破して、バブル経済時、89年の史上最高値、3万8915円を奪回する方向で株価は上昇していくでしょう。

 いつ、この水準に到達するかは、まだ見えませんが、いずれにせよ矢印は3万8915円、その先の4万円に向いています。これが上昇第2波の次の目標値となります。

 上昇第2波は、この4月から始まりましたが、当面3万円台を固め、いずれ3万5000円を突破してくると見ています。そして、バブルの天井を目指すことになります。

 この業績相場を一言でいうと「大衆主導相場」です。株式投資を今までしたことがなかったという多くの人が、株式の他、日経平均に連動するような投資信託を買うような動きをし始めています。ですから、この相場のスケールは大きくなります。

 この相場では、バリュー株もグロース株も底上げが続きます。デフレ不況の間に業績不振、株価が低迷していたような金融、不動産、消費関連銘柄が今、軒並み上昇しています。

 そして米国株は21年11月にFRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めに転換したことで、ナスダックが天井を付け、ニューハイテク株は相当売られてきましたが、足元で株価が戻ってきています。それにつれて、日本のグロース株も買われてきているのです。

 ただ、前回も指摘した通り、岸田政権が増税路線に傾くと、この楽観シナリオは修正されます。こうなると日経平均は3万5000円程度で頭打ちになり、今の下は3万円、上は3万5000円のボックスの中で1年以上動かない、あるいはピークアウトしてしまうという展開も予想されます。加えて、日本銀行の金融政策が早期に修正されると株安要因です。

 しかし、今のところ、その兆しは具体的に出ていません。岸田政権は支持率を非常に気にしており、増税を含む防衛費や少子化対策の財源問題を先送りしています。

 この状況の中で、岸田首相がどこで解散総選挙に打って出るかは、日本の株式市場の行方に大いに影響を与えます。解散となると、そこで景気対策など自民党の勝利につながるような政策を打ち出すはずですから、株価上昇につながります。

 6月21日に、FRB議長のジェローム・パウエル氏が米下院金融委員会で、年内2回の追加利上げを示唆しました。米国のインフレ率は高止まりしていますから、実施の可能性は高いでしょう。それを織り込んで、先にニューヨークダウやナスダックは下げると思います。

 それに連動して日本の株も多少下げるかもしれませんが、すでに日米の株価はデカップリングの動きになっていますから、日本の株式市場への影響は、あまり大きくないと見ています。むしろ米国の利上げで日本の株が下げた時は、絶好の買い場になると思います。

 約10年続いた米国株の黄金の時代が終わり、次の5年、10年は日本株の黄金時代がやってくるというのが、私の今の大局観です。

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