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産業革新投資機構がJSRを1兆円買収、官民で産業力強化

財界オンライン / 2023年7月14日 18時0分

官民連携はうまくいくのか…

日本企業がシェア9割だが…

 官民が一体となって産業競争力、経済安全保障の強化へ─。

 産業革新投資機構(JIC)が、半導体材料のJSRを約1兆円で買収することを決めた。12月下旬を目途にTOB(株式公開買い付け)を実施し、成立すればJSRは非上場となる。

【あわせて読みたい】業界再編にどう関わるか? 産業革新投資機構が新体制1年

 JSRは元々、合成ゴムの国産化を目指して官民で設立した「日本合成ゴム」だった。培った技術を生かして、近年は半導体材料に注力。特に回路形成に使用される「フォトレジスト」は先端半導体製造には欠かせない素材だが、JSRは世界で28%のシェアを握るトップ企業。

 このフォトレジストではJSRの他、東京応化工業が21%、信越化学工業が13%、富士フイルムホールディングスが10%のシェアを持ち、日本企業全てを合わせると世界9割のシェア。

 ただ、この「群雄割拠」状況は、技術力で競争するのにはいいが、世界と戦う上では共倒れになりかねない。

 このフォトレジストは安倍晋三政権時代に韓国の司法が出した徴用工判決の際、事実上の対抗措置として輸出制限された経緯がある。

 韓国はサムスンを中心に自前での開発を急いでいる他、国を挙げて産業育成に注力する中国の動向もある。JSRの外国人株主比率は23年3月末時点で約54%、アクティビストファンドや中国マネーも一部入っている。

 その意味で、今回の買収は経済安全保障の観点で、重要物資を持つ企業から、外国資本の影響を遮断する狙いもある。

 また、経済産業省内には、日本の半導体産業の国際競争力の維持・向上に向け、国の強力な関与が必要との考えが強まっている。その中では、半導体の微細化に向け技術革新が求められるが、競争力確保のための十分な設備投資余力を持つには、再編が必要だという声も根強い。

 また、フォトレジスト以外にも、フォトレジストに混ぜて使う光酸発生材で世界シェア首位の東洋合成工業や、研磨剤で世界シェア9割のフジミインコーポレーテッドなどサプライチェーンを担う企業をどう扱うか。

 今後再編を含め、「民」の力の発揮が問われる。

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