【半導体向けに強み】バルカー・瀧澤利一会長CEOに直撃!ハードとサービスの融合をどう進める?
財界オンライン / 2023年7月25日 11時30分
「前期まで2期連続で最高益を続けたが、今後はそうはいかない」と気を引き締める。
バルカーは配管のつなぎ目の液体・気体の漏れを防ぐ「シール材」の大手。プラントや半導体製造装置、産業機械向けなどに強みを持つ。これまで半導体は活況だったが「デバイスの陰りの影響が、製造装置向けに遅れて出ることを警戒している」。
近年は半導体向けに注力してきたが、これを機に強みのあるエネルギー、防衛向けに新製品やサービスを供給する方針。
その柱となるのが「H&S」。製品(Hard)を提供するだけでなく、そこにサービス(Seal. Engineering Service)を加えてパッケージで提供し、顧客価値を創造するという考え方。
「ハードの技術は徹底的に磨く」。例えば燃料電池向けの高圧水素ガス用シール材を開発。水素は封じ込めるのが難しい気体だが「一定期間製品が侵されないようにし、メンテナンス期間を長くできるようにする」。
サービス面では23年4月に、スマホアプリで設備の定期点検、状態監視を一元的に管理可能なクラウドサービス、「MONiPLAT」(モニプラット)をリリース。「お客様は環境、安心・安全、熟練工の不足などの課題を抱えており、それに応えるサービスが必要だった」
M&A(企業の合併・買収)も常に志向。「技術が強く材料の専門性が高いが、今後は多様性を高めたい。用途開発に向けて技術商社なども候補になる」
社員教育にも力を入れる。社員を選抜した「CEO塾」を設置している他、海外人材の教育にも瀧澤氏自らが携わる。
瀧澤氏は創業家3代目。96年に父の利壽氏が急逝、当時東証1部(現プライム)最年少の36歳で社長に就任したが、その後の金融危機の影響で赤字に転落、社員の3割削減という事態に陥った。「一番辛い経験だったが、この時に人材開発、ビジョン経営の重要性を痛感した」
2027年に創業100周年を迎える。「我々が手掛けるのは、なくてはならない分野。お客様の『安全を漏らすな』をモットーに生き続ける」と力を込める。
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