【トヨタ】がEV開発に〝急旋回〟 新たな生産技術を導入へ
財界オンライン / 2023年7月25日 18時0分
高まる部品会社の危機感
「我々の仕事が減ることは確実だ。自社の技術で電気自動車(EV)関連の仕事を生み出していけるか。本腰を入れて取り組まなければならなくなった」と漏らすのはトヨタ自動車と取引がある部品会社の関係者だ。
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EV販売で後れをとっていたトヨタ。佐藤恒治社長の下、EV開発で〝急旋回〟した。同社はEV事業の収益力向上に向けた改革を生産現場で進める。これによりエンジン関連の部品を納める部品会社の危機感は高まっており、ものづくりが根本から変わることになりそうだ。
トヨタは2026年から投入予定の次世代EVで、駆動系部品を車体と一体化する「ギガキャスト」や車台が自ら工程間を移動する「自走組み立てライン」などを採用する方針を示した。全固体電池の実用化も見据える。
中でもギガキャストは部品点数の大幅削減や投資の半減などが期待され、「米テスラを除いて今のEV事業はどのメーカーも赤字」(アナリスト)と言われる中でコスト競争力を強化できる。
一般的に乗用車は鉄板をプレス成形して多くの部品を溶接して組み上げた構造を採っている。大量生産がしやすく、材料費も安い上に剛性も出しやすい。多品種生産にも向く。しかし、EVになると、そういったこれまでの常識が通用しなくなる。
トヨタがギガキャストで標榜するのが「BEVハーフ」だ。生産準備期間や生産工程、工場投資などを半減する取り組み。部品点数86・工程数33の現行品がギガキャストでは部品点数も工程も一気に1になるという。
そもそもこの工法はテスラが先鞭を付けた。そのテスラとトヨタは10年に資本・業務提携したが、協業は進展せず、16年にはトヨタがテスラ株式を全て売却した。ガソリンエンジンが主流だった当時はトヨタがテスラに初の工場と量産技術を提供していた形だったが、EV時代にはトヨタがテスラの手法を参考にする立場へと変わっている。
課題はエンジン車で培ってきた系列会社(下請け)との共存関係だ。部品が少なくなることは下請けの淘汰にもつながる。新たな工法で浮いた分の雇用をどう活用するか。産業転換が迫られる今の自動車業界である。
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