SBIが台湾PSMCと提携 日本に半導体工場を建設へ
財界オンライン / 2023年7月24日 18時0分
「経済安全保障」が誘致の背景に
「半導体はかつて日本のお家芸の時代があったが、設備投資ができずに国際競争力で負けてきた。日本の半導体産業の復興に貢献したい」─こう話すのは、SBIホールディングス会長兼社長の北尾吉孝氏。
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7月5日、SBIホールディングスが台湾の半導体受託生産大手、力晶積成電子製造(PSMC)と組んで日本に半導体生産拠点を設けると発表した。SBIの資金調達力とPSMCの技術力を組み合わせて2020年代半ばまでに自動車・産業機器向け半導体の量産を目指す。
両社は早期に準備会社を設立し、工場の立地先選定や事業計画・資金調達計画の策定を進める。
PSMC会長の黄崇仁(フランク・ホアン)氏は「生産拠点ができれば、日本の安定調達につながるはずだ」と話す。PSMCは1994年創業。当初は三菱電機から技術協力を受けてDRAM事業に参入したが、メモリー不況を受けて、11年にロジック半導体やメモリーの受託製造専業に転換し、業容を拡大。
金融機関が主導して大規模工場を日本に誘致する異例のケースだが、背景には、米中対立を受け、デジタル化から脱炭素化、国防まであらゆる分野に不可欠な半導体の国内サプライチェーン構築を急ぐ岸田文雄政権の「経済安全保障戦略」がある。
また、北尾氏は近年「金融を核に金融を超える」と話してきたが、今回の案件はその具現化。
SBI新生銀は昨年来、定期預金金利を従来の10倍に引き上げ、預金残高を1年前に比べて5割増の10兆円近くに急拡大させた。これにより融資余力が高まり、PSMCの日本進出に伴う巨額ファイナンスにも十分対応できる態勢が整った。
数千億円にのぼると見られる工場建設のファイナンスでSBI新生銀行が資本提携先の地銀群とシンジケートローン(協調融資)を組めば、グループ傘下の銀行全体の収益底上げにつながる期待もある。
メガバンクなど他の大手行ではなく、SBIが「先導役」を買って出た半導体工場誘致。成功例をつくり、次の事業展開につなげることができるかがSBIに問われる。
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