【総務省】トラブル続きのマイナンバー 首相は「不安払拭が大前提」
財界オンライン / 2023年7月21日 11時30分
マイナンバーを巡る相次ぐトラブルを受け、政府は秋までをめどにマイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」で閲覧できる全情報の総点検を進めることにした。カードと一体化した「マイナ保険証」に別人の情報が誤ってひも付けられるなど、トラブルが「底なし」の状態。制度に対する国民の不信が高まる中、岸田文雄首相は点検の中間報告を、8月上旬までにまとめるよう関係閣僚に指示した。
首相はマイナンバー情報総点検本部の初会合で「コロナ対応並みの臨戦態勢で、国民の信頼を回復すべく全力を尽くしてほしい」と述べ、全データの点検に加え、再発防止の取り組みを着実に進める考えを示した。総務省も自治体との連絡調整に当たる推進本部を立ち上げた。
政府はマイナ保険証への一体化に伴い、2024年秋に現行の健康保険証を廃止する方針だが、首相は「国民の不安を払拭する措置の完了が大前提だ」と強調。25年秋までの最大1年間は今の保険証を引き続き使える猶予期間を設けるため、この期間を活用して不安払拭を図る考えを示した。
とはいえ、新たなトラブルの不安は尽きない。マイナンバーカードを使った証明書のコンビニ交付サービスで別人の住民票の写しが誤って発行されるトラブルがまたも発生。富士通は6月29日、子会社の富士通japanが自治体に提供しているシステムを停止し、再点検すると発表した。このシステムを巡っては同様のトラブルが3月以降相次ぎ、同社が一斉点検を行ったばかりだった。
マイナポイント事業で急速に普及したマイナンバーカード。しかし、今や各地で自主返納する動きが出てきている他、SNS(交流サイト)上では返納を呼び掛ける書き込みもみられる。
松本剛明総務相は「わが国のデジタルトランスフォーメーション(DX)の基盤として大変重要であることを理解してもらえるよう努めたい」と述べたが、混乱が続けば政府が推進する行政のデジタル化に影響が出るのは必至だ。
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