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【農林水産省】農泊観光客を700万人へ 増加のカギは訪日外国人

財界オンライン / 2023年7月24日 11時30分

農林水産省は、農山漁村に宿泊する観光客を25年度までに年間延べ700万人、訪日外国人旅行者の割合を10%に拡大する目標を掲げた。農山漁村地域に宿泊し、地域資源を活用した食事や体験等を楽しむ「農泊」の推進が狙い。

 新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが「5類」に引き下げられ、観光への期待が高まる中、訪日外国人のインバウンド需要を取り込めるかが農泊推進のカギになりそうだ。

 目標達成に向け、農水省は、新規来訪者の獲得やリピーター化、1回当たりの宿泊日数の延長のための施策をまとめた「農泊推進実行計画」を策定した。

 具体的には、専門家派遣の活用や、地域共通の宿泊予約システム導入など「農泊版DX」、農泊コンテンツを集約して情報発信するプラットフォームの構築、現地の交通アクセス情報の提供などを挙げた。

 訪日外国人の受け入れには、多言語対応やトイレの洋式化など課題が山積みしている。計画には、一定の受け入れ態勢が整った地域を「インバウンド重点受入地域」に指定し、受け入れ態勢の底上げを図ることも盛り込んだ。

 17年度に始まった農泊の対象は、計621地域に拡大。19年度に延べ宿泊者数は589万人、訪日外国人旅行者の割合は6%となった。ところが、コロナ禍で21年度の宿泊者数は448万人に減少した。今回の目標はコロナ前と比べて2割の増加を目指すものだ。700万人に達した場合、宿泊や食事などにより約1060億円の関連消費と約420億円の所得創出効果があると試算されている。

 500地域の創出を目指した農泊開始当初の目標は達成したものの、「700万人の目標達成には一段の取り組みが不可欠」(農水省関係者)となっている。コロナ禍で失ったインバウンド需要を取り戻せるか。

 同省は、地域が自律的に事業を興す「農山漁村アントレプレナーシップ(起業家精神)」を醸成し、農山漁村の活性化と所得向上につなげたい考えだ。

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