難航するそごう・西武の売却 労働組合が経営陣との協議を要求
財界オンライン / 2023年8月1日 11時30分
池袋の街づくりのあり方を巡る意見対立
「従業員から見ると、ホールディングスの対応はあまりにも不誠実」と語るのは、そごう・西武の労働組合で中央執行委員長をつとめる寺岡泰博氏。
長年の懸案だった百貨店事業そごう・西武の売却が難航しているセブン&アイ・ホールディングス。そごう・西武の労働組合が記者会見し、組合員のストライキ権が確立されたとして、売却手続きについて経営陣と協議を進める意向を示した。
セブン&アイは昨秋、同社が保有する、そごう・西武の全株式を米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループへ売却することで合意。組合側は従業員の雇用維持などを懸念しており、セブン&アイ側は組合との協議に応じる考え。
セブン&アイは今後、『食』を中心としたグループを目指すとしており、主力のコンビニエンスストア事業に経営資源を集中する方針。4期連続で最終赤字に苦しむ百貨店事業は売却し、大ナタを振るった形だ。
その後、フォートレスは、家電量販店大手のヨドバシホールディングスをビジネスパートナーとして選定。ただ、旗艦店の西武池袋本店(豊島区)へヨドバシカメラが出店を検討していることが報じられると、前豊島区長の高野之夫氏(故人)が、百貨店の高級なイメージが損なわれかねないとして反対。
「(ヨドバシが出店すると)文化の街の香りがしなくなる」とか「区が買収するならまだしも、民間企業の計画に自治体が口を出していいのか」などの意見が噴出。ヨドバシは(百貨店の顔である)低層階への出店計画を一部見直す考えを表明している。
この問題で争点となっているのは、漠とした〝百貨店のイメージ〟。家電量販店の出店により百貨店の高級なイメージが崩れるとのことだが、2000年代に入ると百貨店業界の売上は右肩下がり。その間に成長を続けたのが家電量販店で、百貨店の主力である衣料品はネット通販や新興勢力に売上を奪われ漸減傾向。百貨店の収益モデルをどう改革するかという答えは各社とも見つけられておらず、今回のそごう・西武の売却問題は改めて、百貨店の存在意義が問われていると言えそうだ。
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