出光や九電が撤退する中、東京ガスが火力発電所を新設
財界オンライン / 2023年8月7日 7時0分
東京ガス(笹山晋一社長)が、千葉県袖ケ浦市で新たなLNG(液化天然ガス)火力発電所の新設を決めた。発電規模は合計195万㌔㍗と原子力発電所2基分に相当。投資額は数千億円規模になるとみられ、29年度から順次運転を開始する。
同事業では、燃焼させても二酸化炭素(CO2)が出ない水素の活用を見据えて、水素の混焼が可能な最新鋭の高効率ガスタービンを採用。将来的にガスタービンを改造することで水素の専焼も可能になるという。電力の安定供給に加え、発電所の脱炭素化を進めることで、CO2削減に貢献するのが狙い。
「次世代化・高効率化および脱炭素型火力への置き換え双方の側面で重要な役割を果たしていくと考えている」(東京ガス)
今回の事業には、もともと出光興産や九州電力も参画する方針だったが撤退。LNGなどの燃料価格の高騰で投資余力がなくなり、その後、東京ガスが単独で事業を継続するかを検討していた。
現在は世界的な脱炭素の流れを受けて火力発電所の新規開発が難しくなるばかり。また、老朽化した火力発電所の廃止も相次ぐ中で、東京ガスは日本の電力の安定供給に向けて、新たな火力発電所の建設を決めた形。
別のエネルギー会社関係者は「発電量が不安定な再生可能エネルギーが増えるほど、バックアップ電源として火力の役割は大きくなる。原子力発電が再稼働しない中で、温暖化ガスの排出量を削減する移行期の〝現実解〟ではないか?」と語る。
エネルギー自給率は12%に過ぎず、エネルギー資源の大半を海外からの輸入に頼る日本にとって、エネルギーの安定供給と将来的な脱炭素への移行をどう両立させていくかは大きな課題。東京ガスによる次世代化・高効率化火力発電所の建設は、将来目標とする日本のエネルギー政策にとっての〝現実解〟なのかもしれない。
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